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ゆきの物語

Translations of chapters from the story by our own richvh

Re: ゆきの物語

Postby richvh » Sun 07.06.2008 9:38 pm

Chapter 74

第七十四章
狐一と下女

老中は狐一に琵琶法師と同じ部屋を配属し、「早く明日の朝、私の事務室に行きなさい」と言って、去ってもいいと言ったかように狐一に背を向けました。

それから琵琶法師は狐一を部屋に連れて行きました。部屋に入るとすぐに、狐一は自分の姿に戻って、布団の上に横になり、尻尾を鼻に巻き付けました。「ああ、気持ちいい!服なんかよりも、自分の毛の方が温かい。それに、俺のは人間の服みたいにむずむず痒くないぞ」と言いました。

「人間の姿に残るべきです」と琵琶法師が言うと、狐一は唸るように答えました。「手前!外族で、そして年下の狐が俺に命じるなんて!」

「今は家族の谷にはいません。人間の世界にいると、この世界で経験がある者は先輩だと考えた方がいいんじゃありませんか」と琵琶法師が説明しようとすると、狐一は単に「うるさい」と唸りました。

その同時に、まだ開いている障子から「きゃあ!野獣が!野獣が城の中に!」という悲鳴が聞こえました。琵琶法師が戸の方を振り返ると、そこで落ちた布団の後ろで立ち尽くしているのは下女でした。

琵琶法師は彼女に近寄って、胸に抱きました。「まあ、まあ、怖くないよ」という呪力に混じった言葉で下女に落ち着かせようとしましたが、狐一は「誰が怖くないかい?俺が怖いぞ」と唸りました。

「きゃあ!あれ?話せる?」琵琶法師の腕の間から下女は狐一を覗きました。「狐ですか?可愛い!撫でてもいいですか?」と言って、琵琶法師を見上げました。

「うるさい!誰が可愛いかい?狐が撫でたいなら、そいつを撫でろ」と狐一は唸りました。

下女は見回しました。「何?そいつってどこですか。他の狐が見えませんよ」

「馬鹿者め!お前を抱いている者は狐だとは知らないか?」

「あれ?琵琶法師さんはどこから見ても人間ですよ。狐子様は狐だという噂がありますけど…」

琵琶法師は下女を放しました。「私が狐だということはゆき様達以外、この城の者にとっては秘密であり続けたかったですが、事実です」と言うと、自分の姿に戻って、そしてしばらくするとまた人間の姿に化けました。

「私の目で見ても、信じつらいですもの。あの…老中さまがここには布団がもう一枚必要だとおしゃったので、これを持ってきました」と下女は言うと、一礼をしてから落ちた布団を取り上げて、寝台に広げました。そこにいる間に、こっそりと狐一の毛を撫でました。「わい!とても柔らかい!」と言うと、狐一は単に「うるさい」と答え、目を閉じました。しばらくして、「右へ。前へ。あった、そこで掻け」と言って、楽しんでいる様子を見せました。

間もなく、下女は立ち上げました。「まだ仕事がありますからもうすぐ去るべきです。ええと、狐さま、去る前に、名前を教えていただけませんか」と尋ねました。

「狐一だ」と言うと、彼女は「初めまして、こいち様。私は広子と申します。よろしくお願いいたします」と言って、一礼をしました。それから、「お邪魔しました」と、立ち去りました。

「もう人間に仲良くなっています」と琵琶法師が言うと、狐一はまた「うるさい」と答えました。
Richard VanHouten
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Re: ゆきの物語

Postby richvh » Fri 07.11.2008 7:01 pm

Chapter 75

第七十五章
新しい制服

早く次の朝、廊下から声がしました。「ごめんください。狐一さまの制服を持って参っております」

「ちょっと待って」と答え、着替え、人間の姿に化けると狐一に口説き落とす琵琶法師は間もなく、障子を開きました。その向こうに座っているのは広子でした。

「はい、どうぞ」制服を取り上げ、立ち上がって、それを琵琶法師に渡す広子はその後ろで立っている狐一を覗きました。「それは狐一さまの人間形なんですか。素敵!格好いい!あの、狐一さま、着替えてから、老中の事務室に連れて参ります」

琵琶法師は制服を広げて、頬を赤らまえる狐一に見せました。「これは少し小さすぎるんじゃありませんか」

「うるさい」と言う狐一は広子の目の前で着ている服をその制服のように化けました。もちろん、化けた服はちゃんと合っていました。

「わっ!私がそんなに簡単に着替えればのに!」と手を胸の前に組んだ広子は叫びました。「じゃ、老中さまのところに行きましょう」狐一の手を取って、部屋から引いて行きました。

二人の姿が消えるまでに、琵琶法師はぼんやりと彼らを眺めました。そして、首を横に振って、「昨夜、強すぎるまじないを使ったかな」と呟きました。
Richard VanHouten
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Re: ゆきの物語

Postby richvh » Sat 08.02.2008 10:45 am

As usual, the version with furigana and any corrected chapters can be found at my home page.

Chapter 76

第七十六章
新しい仕事

老中の事務室へ歩きながら、広子は切れ目もなく狐一に喋りました。どの部屋を通っても、どの人を見ても、狐一の繰り返した「うるさい」が聞こえないかように細々とそれらのことを話しました。

狐一のと同じような服を見ると、着ている者は全員十二、三歳の少年で、広子に「小姓」と描きました。

狐一にとって永遠と感じた間がかかってから、ようやく老中の事務室に着きました。「老中様、おっしゃる通り狐一様をこちらに連れて参ります」と広子は報告しました。

「広子さん、小姓の名に『さま』をつけるな」と老中が言うと、「でもね、この方は狐ですよね?狐は神様の使者ですから、『さま』をつけるのは合っていませんか」と広子は答えました。

「待た!この俺が小姓だと!?一体どういう意味なのだ?」と腹が立っている様子の狐一は叫びました。

老中は広子を見やりました。「狐一くんは狐であっても、今のここにいる理由は神様と関係はない。普通の小姓として扱いなさい」と言って、視線を狐一の方へ曲りました。「お前、今、狐の谷にはいない。族長様の命令というのはここで遊べではない。ここで従え、人間のことを習えだ。普通に、城で従い始める少年が小姓になり、働きながら城のことなどを習う。しかし、お前はそういう少年より何年も年上であっても、初心者の小姓のほどよりもこちらのことが分からないのだ。だから、一応、小姓として働いてもらいたい。小姓の用事が充分できるのなら、他の位置を与えるだろう」

老中は狐一に固い視線を目指しました。「最も大事な用事は、目上の者への扱い方を直すことだ。初心者のお前にとって、この城の全員は目上だと考えるべきだ。もうすぐ我が殿のお父上さま―つまり、隣の国の大名―がお訪ねにいらっしゃるのだ。無礼な者に我々を困らせるなどほしくない。分かった?」

「分かった、わか…」狐一は突然、口止め、目を伏せました。「分かりました。頑張ります」

「ふむ。初心者だから、城のどこもを知るまで、誰かが案内すべきだろう。広子さん、今日は大した仕事がある?」

「ありません」

「よし。今日はそいつを案内する」と、老中は筆と紙を取って、何かを書きました。

広子は躍らんばかりように見えました。「わい!狐一君と一緒に働いて、嬉しい!ありがとうございます」

狐一は慌てて広子を見ました。「その口軽な少女の側にいるなんて、僕の罰なんですか?腕を傷つけたことの?」

「谷で起こったことと関係がない」老中は紙を狐一に差し伸べりました。「いいか、これを台所に持って行ってこい。まだ食わなかったなら、戻る前に朝食をしてもいい」

「はい、了解します」と言うと、狐一は広子と共に事務室を去って行きました。

二人が消える後、老中は少しの間、入り口を眺めました。それから、他人がいないはずの部屋にこう言いました。「お前、どう思う?あいつは予想より大人しかったね」

机の下から鼠が出てきて、赤毛の女の姿に化けました。「そうよ。もしかして、伯母さんの話はその結果ができた。それとも、ここに味方がいないからそう振る舞っているかもしれない。結局、あなたに対して反抗は少ないみたい。ところで、あの広子とやら娘は面白いのよ。狐が好きだなんて思わなかった。この前に、猫でさえ見ると、怖がってきたよ。どうして狐が好きになったかしら?狐一の奴のせいじゃないみたいね。人間の姿をしている狐だけが好きかしら?調べてみる。じゃね」というと、猫の姿に化けて、部屋を去りました。

老中は単に首を横に振りました。「狐も女も全然分からない」と呟き、報告書を手に取って、読み始めました。
Richard VanHouten
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Re: ゆきの物語

Postby richvh » Mon 10.13.2008 8:54 pm

Chapter 77

第七十七章
広子と小猫

その一日中、狐一は広子と共にかるやかな使いに城のあちらこちらに送りました。その間、広子は切れ目もなくように近くの人や場所について話し続けました。最初に、狐一はその話を聞き捨てていたが、使いが次から次へ続くと、広子がもう話した人か所に送っていることにだんだん気がついてきました。そして、耳を澄まして、広子の話していることの注目を始めました。

ある使い途中、二人が角を曲がると、広子は突然狐一の腕に飛び込みました。「いや!助けて!野獣が!」と叫びました。

広子を抱いて上がる狐一は足元でニャンニャンと鳴る小猫を見下ろしました。その小猫しか獣が一匹も見えませんでした。

「アレが怖い野獣なのか!?あの小さなもの?」

「いや!小さいか大きいか構わない!追い払って!」広子は狐一に泣きついて彼の肩で顔を埋めました。

「さすがは広子ちゃん!」広子の悲鳴に反応しているように廊下に駆け出した者は幾人くすくすと笑いました。

広子の温かさも、柔らかさも、特に彼女の香を気付いている狐一の頬が赤く染まってきました。「おい!お前!あっちへ行け!」と言いながら足先で小猫を軽く叩きました。それから小猫は欠伸をしてゆっくりと立ち上がって歩いて去りました。

小猫が消えると、広子はようやく狐一の腕から降りて、狐一へ向かい、深く頭を下がりました。「ありがとうございます。助かりました」

「とんでもない!そいつなら、危険は何のはずもない!」

「だって、嫌だから助かったってば!もう、どうして誰も私のことが分からないの?」と広子は言って、逃げるように廊下を駆け出しました。

「俺が知るか?け、女も人間もいつまでも分からないよ」と狐一は呟いてから、「おい、待った!」と呼んで、広子を追い掛け始めました。「何か悪いことを言ったら、ごめんなさい!」

小猫が消えた所から、赤毛の顔が覗きました。「面白い。猫なら、まだ怖がっているね」と狐子は呟きました。
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Re: ゆきの物語

Postby richvh » Mon 10.13.2008 8:57 pm

Chapter 78


第七十八章
狐子からの試し

もう一回の使い途中、広子と狐一が角を曲がると、床で寝ている狐が見えました。今すぐ、広子は狐のところに走りました。「可愛い!」と言って、狐の毛並みを撫で始めました。

「おい、危ない!そいつに噛まれるかもしれない!」と狐一は言うと、広子の側に駆け寄りました。すると、狐をよく見ました。「お前、なんでその姿を?いつも人間の姿をしたいと思った」

狐は赤毛の娘の姿に化けました。「あっ!狐子様、失礼いたしました。すみません」と広子は言って、深く会釈しました。

「どういたしまして。問題はありません」と広子に一礼を返して、狐一に振り返りました。「この子は、気が変わったようなの。この前、何の小さな獣を見ても、怖がるとこの城のみんなが知っている。でも、今日は狐だけが怖くないようなの。どうして?」と狐子は尋ねました。

「俺のせいじゃないよ。口を留まる呪文でさえをこの口うるさい女の人間につかなかった。昨夜、この子が悲鳴を上げた時、あの琵琶法師の奴が何かをしたかもしれない」

「まあ、もうすぐあの人と話すと思う。ところで、この城のみんなはあんたにとって目上の者を考えた方がいいと家老さんが言ったんじゃない?あんたが広子ちゃんに丁寧に話すことを聞くこと一度もない」

「畜生!なぜ狐のこの俺が人間めらに頭を下げなきゃ?伯父の命令は変だぞ」

「父の命令だけじゃないよ。伯母の望みなのよ。この城には血の関係のお方がいるし、伯母の間違いを繰り返さないよう、家族がこの国と関係をもっと強くなるように願っているとあんたにも分かるはずだよ。伯母の話を聞かなかったのか?」

「ふむ。そういえば、伯母の間違いは何だったっけ?」

「間抜け!その話をまた聞く暇があるはずがないのよ。仕事を続けた方がいいよ」

そう叱られて、狐一は広子と一緒に用事をしに立ち去りました。狐子はしばらく二人を眺めて、首を横に振りました。そして、狐一の部屋の方へ向かって小走りで歩き始めました。
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Re: ゆきの物語

Postby richvh » Wed 10.22.2008 11:51 am

Chapter 79

第七十九章
琵琶法師の告白

間もなく、狐子は狐一たちの部屋に着きました。琵琶法師はその中にいました。彼は、大名が訪ねてきている間に、どんな歌を歌ったほうがいいと考え込んでいるところでした。彼は、大名が訪ねて来ている間にどんな歌を歌った方がいいことを考え込んでいるところでした。狐子が障子を開いて中に入ると、彼は机から視線を上げて、お礼をしました。「先生、こんにちは。今日の修行はもっと遅いと思います。今、何か用事がありますか」

「あの広子という娘さんを知ってますか」

琵琶法師はしばらく首を傾けて、頷きました。「ふむ。狐一さんを家老様の執務室へ連れて行ったの?はい」

「あいつは何かの呪いがつけられてるみたいですね。原因を知ってますか?」

琵琶法師は俯きました。「昨晩、こいちさんが狐の姿に化けてここで休んでいる時、あの娘はあの姿を気付くと、悲鳴を上げました。彼女を落ち着かせようとすると、狐を恐れないようにする呪文を使ってしまいました。申し訳ありません」

「もう、どうして誰も伯母様の話にちゃんと聞かなかったのか分からないわ」と呟くと、狐子は大きな溜息をつきました。そして、厳しい視線を琵琶法師の方に向けました。「しょうがない。どんな呪文を使ったのを教えなさい」

琵琶法師が呪文の類いを説明すると、狐子はまた彼を叱りました。「そんな!あんな呪術を敵でない者に使うなんて、信じられません。あれは相手の判断力を盗んで、だんだん生命力を枯渇させていきます。さあ、行きましょう」

「私も?どこへ?」

「狐一より愚かな者になろうとしてますか?あの娘を見つけ、呪いを解きに行きますよ。これは今日の修行です。早く!」と狐子が言うと、二人は部屋を出ました。
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Re: ゆきの物語

Postby richvh » Fri 10.24.2008 4:14 pm

Chapter 81

第八十一章
お守り

琵琶法師が狐子達の注意をまだ悲鳴を上げて震えている広子に向けると、狐一は広子を近づこうとしました。しかし、広子の「きゃあ!近づかないで!助けて!どうして、誰も助けないの?」という悲鳴に襲撃させると、狐子の脇に下がりました。「広子さん!一日中恐怖なしに一緒にいたのに、どうして今そんな様子を?」と訊きました。

「やめておきなさい。」と狐子が言うと、狐一は彼女の方へと向かいました。「恐怖を奪うようの呪いが解かれると、呪いをかけている間の恐怖が一瞬に広子ちゃんに背負わせた。この状況で、言葉が無駄なの。仕方ない。呪術を使う他にこの子を落ち着かせる道はないね」

琵琶法師は声をかけました。「すみませんが、この問題は呪文のせいなら、他の呪文を使うと問題はさらに大きくなるでしょうか」

「はかないおまじないだけを使うつもりですもの。命も意志も触れないで落ち着くようにするおまじないなら、問題は少ないでしょう。ほら、見て」というと、ここがしたことは人間の目によれば何もありませんでしたが、二人は彼女を興味深そうに眺めました。そして、琵琶法師は頷き、狐一は腕を組み狐子から目を背けました。「け、そんな簡単なこと、俺ができたはずなのに」そう言っている間に、広子の悲鳴は減らし、やっと消えました。

まだ震えている娘に狐子は優しく訊ねました。「広子ちゃん、私どもが怖いですか」広子の首は激しく縦に振りました。「このままでいいですか」しばらくして、首は激しく横に張り、娘は何かを呟きました。「聞こえません。近づいてもいいですか」また首は激しく横に振りましたが、ふいに止めて、軽く頷きました。急な動きもなく遅く狐子は近づくと、これが聞こえました。「狐一君を怯えたくない。可愛い獣を怯えたくない。私のことを笑わないで欲しい。怖くいることが嫌い」

「怖くなくなるように手助けをしてもいいですか」今度の軽い頷きに、狐子は遅く着物の中に手を入れました。手を出すと、紐からかけて、赤い毛で作った小さい人形が現れました。「このお守りをかけると、だんだん可愛い獣に慣れて、恐怖が減るでしょう。おまじないはこのものにかけただけです。いつでもこれを捨てても構いません。そうすると、このように恐怖に背負ってこないでしょう。どうも、これを受け取ってください」と狐子は言うと、人形を抱いた手を遅く広子へ伸ばしました。広子は早く人形を奪って、紐を首を巻いて、人形を着物の中に入れました。そして、だんだん震えが減って、落ち着くようになりました。

「今、狐一の側に働くことが出来ますか」

「たぶん」広子の声は少し強くなりました。

「家老さんは待っているんでしょうね。急いだ方がいいでしょう」狐子がそういうと、広子は頷いて、立ち上がりました。それから、黙っている広子は狐一と共に今度の使いを続けました。
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Re: ゆきの物語

Postby richvh » Sun 10.26.2008 7:57 am

Chapter 82

第八十二章
家老との面会

狐一達が家老の執務室に戻ると、広子は黙って俯いたまま狐一から離れようとしているように見えました。家老はすぐにそれに気づき、狐一に目を向けました。「お前、広子に何をしたんだ?」

狐一は腹が立ったように睨み返しました。「俺のせっ」と言いかけましたが、ふいに伏し目になりました。「あ、いや、そういえば、広子には何もしませんでした」

広子は伏し目のまま声をかけました。「どうか、狐一君を許してください。いい子ですよ。本当に私に何も悪いことをしませんでした。全ては私のせいです」

家老は席から立ち上がり、広子に近づきました。「どういう意味ですか。説明しなさい」

広子は頬の涙を拭きました。「なぜか呪いが私にかかっていたようです。呪いが解かれるや否や、狐一君も狐子様も琵琶法師さんも怖い獣にしか見えなくて、私は悲鳴しか出せませんでした。狐子様がこのお守りをくださった後、だんだん落ち着くことができましたが、怖さがだんだん減っているのに、まだ消えません」と言って、赤毛の人形を家老に見せました。

「ふむ。あいつを城のあちこちへ連れ回したのだから、今日はもう休みなさい」

「でも、まだ働けますわ」

「心配は要らない。下がりなさい。明日、元気で戻れ」と家老が言うと、広子は頭を深く下げてから部屋を出ました。狐一が広子について行こうとすると、家老は「お前、どこへ行こうと思っている?」と言って、彼の足を止めました。「広子に呪いをかけたのはお前なのか?」

狐一は慌てて両手を振りました。「違います!こちらだは何の呪術も使ったことがありません!姿を化けることを除いては」

「お前でなければ、誰だったのか?」

「あの法師の奴でしょう。広子さんがたまたま狐の姿のままの私を見かけて悲鳴を上げた時、あいつは何かをしたようです」

「なぜ狐の姿にいたのか?」

「着物なんかを着ると、あちこちが痒くなり掻くことも難しくなるのでいらいらします。狐の姿の方が気持ちいいです」

「そんな姿のままでいたら、問題いっぱいになるだろう。痒みを減らしたかったら、湯を浴びればいいんだ。琵琶法師を探して一緒に戻れ。狐子さんに出会ったら、こちらに来るようにと伝えてくれ」狐一が去ろうとすると、家老はまた声をかけました。「ところで、琵琶法師は城においても人間界の経験においてもお前の先輩だ。『奴』なんか使うな」

「あっ、はい、分かりました」と言うと、狐一は執務室を出て、廊下を歩き始めました。そして、「け、どうして悪いことが起こると、いつも俺のせいだとみんなが思っているのか?」と呟きました。
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Re: ゆきの物語

Postby richvh » Mon 10.27.2008 9:53 pm

Chapter 83.

第八十三章
頭痛

狐一が琵琶法師とともに執務室に戻ると、狐子は家老と喋っていました。「今度はお前の叱られる番だぞ」と低く琵琶法師に呟いてから、狐一はニヤニヤ笑いながら声を上げました。「命令の通り、琵琶法師さんを連れて戻りました」

家老は立ち上がって、琵琶法師に近づきました。「広子という娘に呪いをかけたのはお前だな。説明せよ」

「申し訳ございません。あの子が狐の姿でいた狐一さんを見て悲鳴を上げると、思わず落ち着かせる呪術を使ってしまいました。その呪文が人間に対してそれほど危険だとは知りませんでした。狐子先生の元でもっと勉強を励みます。反省します」と言うと、琵琶法師は深く頭を下げました。

家老は二人を見回しました。「こんな事件は二度と起こさないでほしい。特に我が殿の父上様がこちらにいらっしゃっている間、我が殿に恥ーかかせないようにしてほしい。分かったな?」

狐一の笑みはすぐに消えました。二人は頷きました。

「だから、二人とも、通常の仕事に加え、毎日狐子さんの元で適切な振舞い方を習ってもらいたい。分かったな?」

狐一たちがまた頷くと、家老は「下がれ」と命じて、席に戻りました。二人が部屋を出ようとした時、ほとんど聞き取れないぐらいの小さな声で「け、産まれたばかりの狸の方があの女狐よりも適切な振舞い方くらい分かるだろうよ」と言うのが聞こえました。

障子が閉まると、家老は両手で頭を抱えました。「頭が痛い。あいつらに噂話をする奴らのいじめ方まで教えないでくれ」

狐子は何食わぬ顔で答えました。「あら、私がいじめ方を教えられるなんて、とんでもない」

「嘘をつくな。ゆき様について悪い噂が立った時、誰があいつらをいじめていたのかも、どうしてそうしたのも分かっている。ただ、これからあいつらに模範を示してくれ。特に狐一の奴に」

狐子はクスクス笑いました。「頑張ります」
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Re: ゆきの物語

Postby richvh » Wed 10.29.2008 9:10 pm

Chapter 84

第八十四章
殿様の到着

それから狐一はだんだん城の暮らしに慣れてきました。広子の獣に対する恐怖心は消えた後でも、狐一の口答えは絶えませんでしたのに、暇さえあれば、二人は一緒にいることが多くなりました。

狐子からの修行は喧嘩ごしにもかかわらず、狐一の振舞いはだんだん礼儀正しくなって、家老に叱られることは減ってきました。

しばらくすると、殿様の到着の日が来ました。見張り所から殿様の旗が見えると、ゆき達は城門に集まりました。ゆきは深く頭を下げました。「お義父上、こちらへようこそ。長旅でお疲れでございましょう。お湯も食事も用意させてありいます。どちらでもお寛ぎください」

殿様はゆきの姿を見やりました。「ほお、お腹が大きくなっとるな。すぐに孫ができるんじゃろうな。お前の素晴らしい茶道をまた楽しんでみたいが、どうじゃ?」

「もちろんですとも。こちらへいらして頂けたら、すぐに道具を用意いたします」と言うと、ゆきは殿様と若殿を連れて自分の部屋へと向かって歩き出しました。

すると、家老は声をかけました。「狐一、荷物を持っている家来を殿様の部屋へ連れて行け。そして、兵舎へ」

「かしこまりました」と言うと、狐一は殿様の家来を連れて出ました。

狐子は家老に近づいて囁きました。「狐一君はいい子になったでしょう」

「みたいだな。しかし信用ならない。この訪問が問題なく終わるよう祈っている」と家老は小さく答えました。
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Postby richvh » Sat 11.01.2008 1:47 pm

Chapter 86

第八十六章
狐一と家来達

狐一が家来たちを殿様の部屋へ連れて行く途中、家来の一人が彼に声をかけました。「ほお、餓鬼、普通の小姓よりもずいぶんと年上なんじゃないか?なぜまだ小姓のままなんだ?そんなに頭が悪いのか?」

狐一は歯を食いしばりましたが、家老の「問題を起こすな」という言葉を思い出し、黙って歩き続けました。

殿様の部屋に着くまで狐一は家来たちに侮辱を受け続けましたが、狐一は聞こえない振りをしたまま歩きました。しかし、部屋に殿様の荷物を置いて出る間もなく、話題が変わりました。「ほら、この城の主は我が殿の若君だったじゃない?なぜお世継ぎを失ってまで、こんなところまで追放させたのかな?」

「いいか、あの方は百姓の娘と恋に落ちたんだな。なぜか我が殿はその女と結婚させてやったが、その代わりにお世継ぎを次男に譲らせなければならなかったのだ」

この台詞を聞くと、狐一は頭に血が上ったように振り返って叫びました。「ゆき様を百姓なんか呼ぶな!謝れ!」

家来たちは高笑いをしました。「この餓鬼が俺らの長のつもりでいるぞ。おい、小姓め、俺らが謝らないならどうする?」

ちょうどその時、広子はそこをを通りかかりました。その光景を見ると、狐一の元に急いで声を上げました。「狐一君!お客様に叫ばないで!家老様から罰を受けるわよ!」

家来達はさらに高笑いをしました。「ほら、この餓鬼は女子に守られないと駄目なようだぜ!」そして、家来の一人は広子の手を掴んで引き寄せました。「俺様の方があの餓鬼よりもいい恋人になるぞ」

「きゃっ!手を離して」と広子は言うが速いか、その家来はすでに倒れていました。その仰向いている姿に跨がっているのは狐一でした。「広子さん!家老様を呼びに行って!」

「ほお!この餓鬼は度胸があるな!行くぜ!」と家来の一人が言い終わる前に、広子は廊下を駆けて行きました。
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Re: ゆきの物語

Postby richvh » Tue 12.23.2008 5:53 pm

Chapter 89

第八十九章
殿様との会話

一方、ゆきたちはゆきの部屋に戻りました。皆は正座した後、殿様は声をかけました。「狐子殿、わしがここに籠城している間、お前のような赤毛の娘に会ったことがあるな。お前はその子だそうだが、それは信じづらいことじゃ。その子のように、お前は十代後半と見える。お前を良く見ると、その子と良く似とる気がする。お前は本当にその子じゃ?それとも、あの子の娘とか、妹とかじゃ?」

「本当ですよ。こうしているのなら、お信じになることができますか」と狐子は言うと、突然髪の毛の半分は灰色になり、口と目の端では皴を少ししています。「それとも、こうしているのですか」今回は体が太っていました。「でも、そんな姿はあまり楽しくありませんね。これでいいです」狐子は元の姿に戻りました。

殿様は驚いていました。「まさか、何者だ?息子や、妖怪か何かがここに住むことを許しているのか?」

「父上、狐子は狐のようです。ゆきを助けた狐の娘だそうです」

「なるほど。狐は人の姿に化けることができるそうだな。狐子殿、どうしてそんなに目立った髪の色をしているのか?たった今のように、髪の色も変われるな」

狐子は甘く微笑みました。「狐だから、生まれた時からこの色の毛をしているので、これが好きなのです。だから、姿を化けるおまじないを習った時、人間の内に目立つかどうか構わず、この色でいいと決めました。まあ、あなた様なら、どんな色をするのですか?」

「ふむ」殿様は顎を撫でて、丁髷を触りました。「どの色の髪でもすることができるのなら、この銀髪を元の黒にするだろうな。何しろ、周りの者と同じような色しかしたくないと思う。『出る釘が打たれる』と言われたな。ところで、お前はどのように当時の包囲された城を逃げたのか?わしらと同じく、家来に地下道を見せたか、狐の呪術で逃げたのか?」

狐子はくすくすと笑いました。「私が狐の能力であの地下道を作って家老さんに見せたのですもの」と、ゆきとどの関係があることや、どうしてあの時彼女も籠城されたことなど説明を始めました。その途中、家老が戻ってきて、自分の経験を加えました。

その後、殿様は二人を見比べながらにやりと笑い、「ほ、二人とも、恋愛小説を暮したらしい。結婚式はいつだ?」と輝いている目で訊きました。

狐子と家老は慌ててしばらく沈黙しました。そして、家老は「そ…それをするのがま…まだ決めません」と言い、狐子は「父は…族長はまだちょっと…」と言いました。

「ほ、昔から自分で世界を経験しているのに、問題は父親の許可なのか?それじゃ、わしに任せろ。狐殿を呼べなさい。わしが仲人として役を果すな」と殿様が言うと、狐子は「そんなに予想以上なことをして下さったら、本当にありがとうございます」と、深く頭を下げました。

殿様は膝を叩き、若殿の方へ視線を向きました。「よし!息子や、不思議な琵琶法師を雇っているそうだ。あいつはどこで隠れているのか?」
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Postby richvh » Mon 01.05.2009 8:16 pm

Chapter 91

第九十一章
殿様と狐

ちょうどあの翌朝、狐は狐子の部屋に現れました。「狐子や、まさかなぜこんなに急にここに来るように呼んだのか?ゆきには、お前が扱わないほど酷い事件が起こったのか」と訊きました。

狐子は首を横に振り、「そんなことはない。ただ、お父様に会いたいとおっしゃっているお方がいるの。こちらへどうぞ」と言うと、殿様がゆき達と一緒に咲き始めた桜の花見を楽しんでいる庭へ狐を連れて行きました。

その途中に気づくと、狐は人間の姿に化け、「久しぶりですね」と殿様に呼びました。

殿様は、「そうだな」と言い、ゆきと若殿を示し、「この二人の婚礼の時、お前の顔には見覚えがあった気がしたが、いつのどこで会ったのを思い出せなかった。しかし、お嬢ちゃんの話を聞くとピンと覚えた。子供の頃、親友に会いにここに来たら、お前も赤毛の女子と共に来たことがあったな」と、狐の背中を軽く叩きました。「綺麗なお嬢ちゃんがいるな。ここに籠城した時からほとんど一人暮しているらしい。なぜ自分の夫を選んでやらないのか?」と訊ねました。

狐はしばらく俯き、「そういえば、狐子に自分の夫を選ばせたくはありません。ただ、姉のようにこんなに若い頃から夫の死を悼むことを許さない。分かるでしょう?」と答えました。

殿様は「いいか、お嬢ちゃんはそのことがずっと分かっているだろうな。それに、こいつは兵ではないので、戦で死ぬはずがない」と、家老を示しました。

その時でした。悲鳴が聞こえました。
Richard VanHouten
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Re: ゆきの物語

Postby richvh » Tue 01.06.2009 11:24 pm

Chapter 92

第九十二章
ゆきの陣痛

悲鳴をするのはゆきでした。皆はゆきの方へ振り返りました。ゆきは大きくなっているお腹に手を取っていました。

ゆきの隣に座っていた若殿は慌てて立ち上がりました。「ゆき!どうした?大丈夫?」と混乱そうに訊きました。

ゆきは、「痛い!お腹が痛いの!」と泣き声で答えました。

若殿は見回し、「どうすればいい?誰か、医者を!ゆき、しっかり!」と言いました。

花見のおやつを配っていた下女と喋っていた女将が声をかけました。「殿、恐れながら、助産婦を呼んだ方が適当でしょう。それは産痛に違いありません。ゆき様、痛みが過ぎましたか?」と尋ねました。ゆきが頷くと、「お部屋にお戻り下さい。庭で産むのは恥ずかしいですね。広子、奇麗な布をゆき様の部屋に運びなさい。沸いたお湯も必要なの」と言うと、ゆきの腕を取って、立ち上がることを助けました。

下女達は用度の準備をしに去ると同時に、若殿達はゆき達について行きました。しかし、部屋に着いた時、若殿も入ろうとすると、女将は、「こちらは女のことなので、男が禁忌でございます。殿でも関わらず、お入りはかねます」と言い、襖を閉めました。

若殿は血が頭に登るように、「あれが俺の妻、俺の子だろう!と怒鳴り、襖を破れるところでしたが、後ろから手が肩に置きました。振り返ると、殿様でした。

「やめろ。無駄だ。お前が生まれた時、わしも今のお前と同じように母と一緒にいたかったができなかった。待ちながら、庭に戻り、できるだけ花見を楽しもう」と、若殿の腕を手に取って、庭へ連れて行こうとする、狐は声をかけました。「失礼ですが、後で会話をお続けしまそう。誰かにこのことについて知らせに行ってきますから」と、お辞儀をしてから去りました。
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Re: ゆきの物語

Postby richvh » Sat 01.10.2009 4:10 am

The 93rd, and final, chapter.

第九十三章
ゆきの子

庭に戻ると、殿様はまた花見を楽しましたが、若殿は落ち着けなく、視線が桜むしろゆきの部屋の方へ向かうことが多く、足も自分の意志で動くか、庭のあちこちに主を運びました。

しばらくして狐は一人の供人と一緒に戻ってきました。供人を殿様達に紹介してから、狐達も待ち始めました。待ちながら、狐は殿様との会話を続けました。狐子のことを決定すると、二人は狐子と共に若殿の態度や活動に対して論評し始めました。

ようやく、昼過ぎ、女将が庭に出てきました。「ゆき様親子は元気でございます。殿、今はお嬢様をご覧できます」

若殿は「女子だ!父になった!」と繰り返しながらしばらく人から人まで駆け回りました。そして、ゆきの部屋へ向かって駆け出しました。皆ももっと遅く後ろについて行きました。

そこに着くと、布で包んである赤ん坊が笑顔をしているゆきの胸に抱かれていました。その光景を妨げたくないか、襖を越えなかった若殿は静かに二人を目で飲みました。

しばらくしてゆきは目を上がり、若殿に向きました。「旦那様、娘を持ちませんか」と腕を伸ばしながら優しく訊きました。

若殿はしばらくたまらってから部屋を入り、娘を抱き上がりました。背後に入った家老が、「殿、家系図には、何の名前を記しますか」と訊ねました。

若殿はしばらく呆然としていましたが、ゆきはすぐに声をかけました。「桜。この子は桜です」と言うと、若殿は名前を含味しているように「桜」を繰り返してから、「うん。桜がいい」と言いました。

殿様は「見事な名前だな。綺麗な孫娘に相応しいんじゃない」と、手で若殿の背中を軽く叩きました。

「可愛い!次に抱いてもいい?」と、狐子が飛び跳ねんばかり興奮そうに桜を眺めていました。

そして、狐がゆきには見知らない女の人を連れて枕元に行きました。古い型の着物に古い型の長い黒髪の美人でした。しかし、その顔には見覚えのある顔の響がありました。狐が「ゆき殿、こちらは…」と紹介を始めると、ゆきは口を挟みました。「まさか、もしかして…おばあさま?いや、ひおおば様ですか?」と言いながら立ち上がりました。

女は頷き、優しく微笑みました。「初めまして、ゆきや。狐の谷の姫と申す。長すぎる時間狐の谷に籠り、我がままに自分の悩みしか考えていないね。弟があなたの冒険を伝えるたびに興味が少しずつ掻き立てたの。ついに、お前が子を産むところだと聞くと、来ざるを得なかったの」と言うと、ゆきを抱き締めました。

その抱きが終わると、殿様は声をかけました。「ところで、狐殿が狐子ちゃんと家老殿の婚礼を許してくれた」

ゆきは、「本当?すごい!いつですか?」と言うと、笑み顔を割らんばかりでした。

家老は狐子の顔を見つめながら、「まだ決めません。できるだけ早くと祈ります」と答えました。

狐は、「ゆき殿、今は幸せを見つかったのですか」と訊きました。

ゆきは家族と友達の笑顔を見回し、「本当に幸せですが、まだ足りないことがあります」と言うと、皆はぽかんとゆきを見つめました。

若殿が「いったい何が足りないのだ!?」と訊ねると、ゆきは若殿の手を取り、顔をまっすぐに眺めながら、「子供です。一人子でしたので、多くの子供が欲しいですよ。この城を子供がいっぱいにしたいのです」と言いました。そして、皆は笑いました。

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