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ゆきの物語

Translations of chapters from the story by our own richvh

RE: ゆきの物語

Postby richvh » Sun 04.01.2007 9:46 pm

Chapter 51: Most has already been proofread by furin; the end was checked by ryokondo, and miha also had some suggestions.

第五処齒ヘ
茶会の嵐鐔r

家来の妻がゆきの部屋を出てから、女将が入ってきました。「ゆき様、お茶会はいかがでしたか」

ゆきは溜息をつきました。「はじめは渋っていましたが、ようやくうなずいてくれました。家族と一緒にあの村に行って、お兄さんの子どもたちを育てることに同意してくれました」そしてまた溜息をつきました。「こういう話をするのは苦手です」

女将は茶道具を片付け始めました。「国を治めることになれば、そのような会話はいつも必要になると思います。つまり、それは政治ですね」

ゆきは、「そうですね」と、苦笑いをしました。「彼女が城を出れば、例の悪い奄ヘ無くなると思いますか」

女将は首をかしげました。「そうはならないでしょうね。汚bが好きな人は多いですから。でも、城中の者がゆき様のことをよく分かってくれば、悪口を広めるようなことはしなくなるでしょうね」

ゆきは、「どうやれば、彼女たちに私のことを分かってもらえると思いますか」と尋ねました。

女将は、「一人一人とお茶会を設けるのがよいかと思います。でも、誰がはじめのお客になるかは難しい問題ですね」と、服を着替えているゆきを手伝いながら言いました。

ゆきはくすくすと笑い出しました。「難しくないと思いますよ。今晩が、そのはじめのお客でしたから」

女将も笑いました。「そうですね。さて、問題は、次のお客を誰にするかということになりますね。はじめのお客はお茶会の後でここから追放されたように見えてしまったので、城内の者がお茶会を怖がり始めるかも知れません」

ゆきは、「そうですね」と答えながら、棚に置かれた二冊の本を見つけました。その二つの本を比べて、どちらも同じ内容だということに気付きました。「私がここを離れていた間に、庄屋さんの奥さんから借りた本から写本が出来上がっていたようですね。それでは、彼女が次のお客というのはどうですか」

女将は、「いい考えだと存じます」と、二人は庄屋の妻に招待状を書いて送りました。

そういうわけで、数日後、庄屋の妻が城に茶会を楽しみに来ました。その間、ゆきが借りていた本を庄屋の妻に戻して、他の本を借りる約束をしました。

間もなく、この茶会の奄ェ全城内に広まってきました。それから、城内の女性が一人一人ゆきと茶会を楽しむという招待状を受け始めました。初めに、彼女らはびくびくしながらゆきの部屋に行きましたが、それぞれが自分の参加した茶会を楽しんだという話が広まると、茶会に来る客がだんだん心を開いていきました。それぞれの茶会の前に、女将はゆきにその茶会の客の事情を教えておきました。その茶会の間に、ゆきがお客とその客の好き嫌いに思うことや、家族のことを話し合いました。こうして、ゆきについての悪い奄ヘだんだん無くなりました。


Edit: a few corrections from miha

第五処齒ヘ
茶会の嵐鐔r

家来の妻がゆきの部屋を出てから、女将が入ってきました。「ゆき様、お茶会はいかがでしたか」

ゆきは溜息をつきました。「はじめは渋っていましたが、ようやくうなずいてくれました。家族と一緒にあの村に行って、お兄さんの子どもたちを育てることに同意してくれました」そしてまた溜息をつきました。「こういう話をするのは苦手です」

女将は茶道具を片付け始めました。「国を治めることになれば、そのような会話はいつも必要になると思います。つまり、それは政治ですね」

ゆきは、「そうですね」と、苦笑いをしました。「彼女が城を出れば、例の悪い奄ヘ無くなると思いますか」

女将は首をかしげました。「そうはならないでしょうね。汚bが好きな人は多いですから。でも、城中の者がゆき様のことをよく分かってくれば、悪口を広めるようなことはしなくなるでしょうね」

ゆきは、「どうやれば、彼女たちに私のことを分かってもらえると思いますか」と尋ねました。

女将は、「一人一人とお茶会を催すのがよいかと思います。でも、誰がはじめのお客になるかは難しい問題ですね」と、服を着替えているゆきを手伝いながら言いました。

ゆきはくすくすと笑い出しました。「難しくないと思いますよ。今晩が、そのはじめのお客でしたから」

女将も笑いました。「そうですね。さて、問題は、次のお客を誰にするかということになりますね。はじめのお客はお茶会の後でここから追放されたように見えてしまったので、城内の者がお茶会を怖がり始めるかも知れません」

ゆきは、「そうですね」と答えながら、棚に置かれた二冊の本を見つけました。その二つの本を比べて、どちらも同じ内容だということに気付きました。「私がここを離れていた間に、庄屋さんの奥さんから借りた本から写本が出来上がっていたようですね。それでは、彼女が次のお客というのはどうですか」

女将は、「いい考えだと存じます」と、二人は庄屋の妻に招待状を書いて送りました。

そういうわけで、数日後、庄屋の妻が城に茶会を楽しみに来ました。その間、ゆきが借りていた本を庄屋の妻に戻して、他の本を借りる約束をしました。

間もなく、この茶会の奄ェ全城内に広まってきました。それから、城内の女性が一人一人ゆきと茶会を楽しむという招待状を受け取り始めました。初めに、彼女らはびくびくしながらゆきの部屋に行きましたが、それぞれが自分の参加した茶会を楽しんだという話が広まると、茶会に来る客がだんだん心を開いていきました。それぞれの茶会の前に、女将はゆきにその茶会の客の事情を教えておきました。その茶会の間に、ゆきがお客とその客の好き嫌いに思うことや、家族のことを話し合いました。こうして、ゆきについての悪い奄ヘだんだん無くなりました。


Edit: final corrections from furin

第五処齒ヘ
茶会の嵐鐔r

家来の妻がゆきの部屋を出てから、女将が入ってきました。「ゆき様、お茶会はいかがでしたか」

ゆきは溜息をつきました。「はじめは渋っていましたが、ようやくうなずいてくれました。家族と一緒にあの村に行って、お兄さんの子どもたちを育てることに同意してくれました」そしてまた溜息をつきました。「こういう話をするのは苦手です」

女将は茶道具を片付け始めました。「国を治めることになれば、そのような会話はいつも必要になると思います。つまり、それは政治ですね」

ゆきは、「そうですね」と、苦笑いをしました。「彼女が城を出れば、例の悪い奄ヘ無くなると思いますか」

女将は首をかしげました。「そうはならないでしょうね。汚bが好きな人は多いですから。でも、城中の者がゆき様のことをよく分かってくれば、悪口を広めるようなことはしなくなるでしょうね」

ゆきは、「どうやれば、彼女たちに私のことを分かってもらえると思いますか」と尋ねました。

女将は、「一人一人とお茶会を催すのがよいかと思います。でも、誰がはじめのお客になるかは難しい問題ですね」と、服を着替えているゆきを手伝いながら言いました。

ゆきはくすくすと笑い出しました。「難しくないと思いますよ。今晩が、そのはじめのお客でしたから」

女将も笑いました。「そうですね。さて、問題は、次のお客を誰にするかということになりますね。はじめのお客はお茶会の後でここから追放されたように見えてしまったので、城内の者がお茶会を怖がり始めるかも知れません」

ゆきは、「そうですね」と答えながら、棚に置かれた二冊の本を見つけました。そしてその二つの本が、どちらも同じ内容だということに気付きました。「私がここを離れていた間に、庄屋さんの奥さんから借りた本の写本が出来上がっていたようですね。それでは、彼女が次のお客というのはどうですか」

女将は、「良い考えだと存じます」と、二人は庄屋の妻に招待状を書いて送りました。

そういうわけで、数日後、庄屋の妻が城にやって来ました。茶会の間、ゆきは借りていた本を返し、他の本を借りる約束をしました。

間もなく、この茶会の奄ェ城内に広まっていきました。それから、城内の女性が一人一人ゆきと楽しむ茶会の招待状を受け取り始めました。はじめ、彼女らはびくびくしながらゆきの部屋に行きましたが、それぞれが自分の参加した茶会を楽しんだという話が広まると、茶会に来る客がだんだん心を開いていきました。それぞれの茶会の前に、女将はその茶会の客に関する情報をゆきに教えておきました。そして、ゆきはその客の好きなことや嫌いなこと、家族のことなどを話し合いました。こうして、ゆきについての悪い奄ヘだんだん無くなりました。
Last edited by richvh on Wed 04.11.2007 7:07 am, edited 1 time in total.
Richard VanHouten
ゆきの物語
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RE: ゆきの物語

Postby richvh » Fri 04.06.2007 4:11 pm

Chapter 52: (Most of it corrected by ryokondo)

第五藷?ヘ
狐子の帰り

ある日、ゆきが庭の中に秋空の下で日向ぼっこをしながら、座って本を読んでいました。いきなり、ゆきは落ちた葉の中を歩いているような足音が、ゆきの耳に入ってきました。ゆきは見回すと、よく見覚えのある赤毛の姿が目につきました。

「狐子ちゃん!おかえり!」と、苦労しながらもゆっくりと立ち上がりました。

「ただいま!ああ、ゆきちゃん、お腹がもう大きくなり始めたよね。赤ちゃんが蹴るのがもう分かるの?」と狐子が聞くと、ゆきは「そうよ。見て!」と、狐子の手を取って、自分の腹に置きました。

「強いわ!いつ生まれるかしら?」と狐子が尋ねると、ゆきは「春らしいの。多分、花見のころ」と答えました。

「わあ!嘉節の時間ね」と狐子は言うと、ゆきは「そうよ。でも、私のことについて話すのは止めよう。狐子ちゃん、ここから離れていた間に、何をしていたの?心配しないでと言ったのに、時間が過ぎ続けると、気になってきたの。その後、変わりはない?」と問いました。

狐子は、「心配するわけはないよ。鬼との喧嘩のおかげで、もう一本の尻尾をつけることを許してもらったの。見て!」と、自分の元の姿に戻り、背中の上に数本ある尻尾を振りました。

ゆきは、「可愛い!」と、尻尾を指折り、数え始めました。「一、二、三…尻尾が三本見える。ええと、前に二本の尻尾を付けていたかしら?狐子ちゃんは普段人間の姿をしているから、尻尾の数に気付かなかった」

狐子は人間の姿に化け、「うん、このごろまで二本だけだったの。お父さんは得意気な顔をしてたわ」と、ふいに溜息を落としました。「でも、それからお父さんは、私が尻尾が三本ある狐になったから、一族の絆を強めるために、もうすぐ結婚すべきだって。それから、ひっきりなしに他の家族から来たつまんない奴に私を紹介しやがった。みんなの興味は人間のことより私の尻尾をくんくんと嗅ぐしかないよ」と言って、顔を顰めました。

ゆきは、「残念ね。嫁ぎたくないの?」

狐子は、「したいが、そんな奴はちょっと…」

ゆきは、「どんな者の方がいいの?」

狐子は両手を胸の前に取って、目を見上げて、笑顔をして、長い息をつきました。「老中」しか言いませんでした。

「へえ?どうしての?」

「性格優しいし、頭がいいし、世界のことがよく分かるし」

「だが、とても年取ってるじゃないか?」

「高?ネい。昔から彼のことが好きの。とにかく、狐の一期は人間のと違うよ。私は何歳だと思うの?」

「ええと。曙ワ、六歳かしら?」

狐子は二、三歳の女の子の姿に化けました。「今、何歳?」と、また八書繧フ老女の姿に化けました。「今?」と言い、普通の姿に戻りました。「実は、私はまだ若い狐なのに、老中の同じような年を取ってるわ」

ゆきは額を摩りました。「分からない。理解できない。私を混乱させてるから、頭が痛くなってしまったわ。どうやって老中を知ってきたの?」

狐子は、「長い話だよ。日がもうすぐ沈むから、部屋に行こう」と、ゆきの手を取って、城の門へ向かって、ゆきを引いて、歩き始めました。


Edit: corrections to the end from Ryokondo

第五藷?ヘ
狐子の帰り

ある日、ゆきが庭の中に秋空の下で日向ぼっこをしながら、座って本を読んでいました。いきなり、ゆきは落ちた葉の中を歩いているような足音が、ゆきの耳に入ってきました。ゆきは見回すと、よく見覚えのある赤毛の姿が目につきました。

「狐子ちゃん!おかえり!」と、苦労しながらもゆっくりと立ち上がりました。

「ただいま!ああ、ゆきちゃん、お腹がもう大きくなり始めたよね。赤ちゃんが蹴るのがもう分かるの?」と狐子が聞くと、ゆきは「そうよ。見て!」と、狐子の手を取って、自分の腹に置きました。

「強いわ!いつ生まれるかしら?」と狐子が尋ねると、ゆきは「春らしいの。多分、花見のころ」と答えました。

「わあ!嘉節の時間ね」と狐子は言うと、ゆきは「そうよ。でも、私のことについて話すのは止めよう。狐子ちゃん、ここから離れていた間に、何をしていたの?心配しないでと言ったのに、時間が過ぎ続けると、気になってきたの。その後、変わりはない?」と問いました。

狐子は、「心配するわけはないよ。鬼との喧嘩のおかげで、もう一本の尻尾をつけることを許してもらったの。見て!」と、自分の元の姿に戻り、背中の上に数本ある尻尾を振りました。

ゆきは、「可愛い!」と、尻尾を指折り、数え始めました。「一、二、三…尻尾が三本見える。ええと、前に二本の尻尾を付けていたかしら?狐子ちゃんは普段人間の姿をしているから、尻尾の数に気付かなかった」

狐子は人間の姿に化け、「うん、このごろまで二本だけだったの。お父さんは得意気な顔をしてたわ」と、ふいに溜息を落としました。「でも、それからお父さんは、私が尻尾が三本ある狐になったから、一族の絆を強めるために、もうすぐ結婚すべきだって。それから、ひっきりなしに他の家族から来たつまんない奴に私を紹介しやがった。みんなの興味は人間のことより私の尻尾をくんくんと嗅ぐことにしかないのよ」と言って、顔を顰めました。

ゆきは、「残念ね。嫁ぎたくないの?」

狐子は、「したいけど、そんな奴はちょっと…」

ゆきは、「どんな人の方がいいの?」

狐子は両手を胸の前に置いて、目を見上げて、笑顔をして、長い息をつきました。そして「老中」とだけ言いました。

「へえ?どうしてなの?」

「性格が優しいし、頭がいいし、世の中のことをよく分かっているし」

「でも、とても年取ってるじゃない?」

「高?ネい。昔から彼のことが好きの。とにかく、狐の一生は人間のと違うよ。私は何歳だと思うの?」

「ええと。曙ワ、六歳かしら?」

狐子は二、三歳の女の子の姿に化けました。「今、何歳?」と、また八書繧フ老女の姿に化けました。「今は?」と言い、普通の姿に戻りました。「実は、狐としては私はまだ若いのに、老中と同じような年を取ってるわ」

ゆきは額を摩りました。「分からない。理解できない。私を混乱させてるから、頭が痛くなってしまったわ。どうやって老中を知ってきたの?」

狐子は、「長い話だよ。日がもうすぐ沈むから、部屋に行こう」と、ゆきの手を取り、城の門へ向かって、ゆきを連れながら歩き始めました。


Edit: final corrections from furin

第五藷?ヘ
狐子の帰り

ある秋空の日、ゆきは庭で日向ぼっこをしながら、座って本を読んでいました。突然、誰かが落ち葉の中を歩いているような足音が、ゆきの耳に入ってきました。辺りを見渡すと、見覚えのある赤毛の女の子が見えました。

「狐子ちゃん!おかえり!」と、重い体でゆっくりと立ち上がりました。

「ただいま!ああ、ゆきちゃん、お腹がすっかり大きくなったわね。赤ちゃんが蹴るのがもう分かるの?」と狐子が聞くと、ゆきは「そうよ。さわってみて!」と、狐子の手を取って、自分のお腹に置きました。

「強いわ!いつ生まれるかしら?」と狐子が尋ねると、ゆきは「春らしいの。多分、花見のころ」と答えました。

「わあ!きっと桜のように華やかな子が産まれるわね」と狐子が言うと、ゆきは「それはそうと狐子ちゃん、ここを離れてから、何をしていたの?心配しないでと言ってたけど、長い間戻ってこなかったから、気になってたの。その後、変わりはない?」と聞きました。

狐子は、「心配しないでも大丈夫よ。鬼との喧嘩のおかげで、尻尾をもう一本付けることを許してもらったの。見て!」と、自分の元の姿に戻り、背中の後ろに揺れる数本の尻尾を見せました。

ゆきは、「可愛い!」と、尻尾を指折り、数え始めました。「一、二、三…尻尾が三本見えるわ。ええと、前は二本の尻尾だったっけ?狐子ちゃんはいつも人間の姿だったから気が付かなかったよ」

狐子は人間の姿に化け、「うん、前は二本だったの。お父さんが得意気な顔をしてたわ」と笑った後、ふいに溜息をつきました。「でも、お父さんが言うにはは、私の尻尾が三本になったから、一族をもっと繁栄させるために、すぐにでも結婚すべきだって。それからひっきりなしに、他の家族から来たつまんない男に私を紹介するのよ。みんなの興味は人間のことより私の尻尾をくんくんと嗅ぐことにしかないのよ」と言って、顔をしかめました。

ゆきは、「それは残念ね。まだお嫁に行きたくないの?」

狐子は、「結婚はしたいけど、そんな男たちはちょっとね…」

ゆきは、「どんな人がいいの?」

狐子は両手を胸に置いて、目を見上げ、微笑んでから、長い息をつきました。そして「老中」とだけ言いました。

「え?何?どういうこと?」

「老中のような人がいいの。優しいし、頭がいいし、世の中のことをよく知っているし」

「でも、年を取り過ぎているじゃない?」

「高?ネいわ。昔から彼のことが好きなの。とにかく、狐の一生は人間のと違うのよ。私は何歳だと思うの?」

「ええと。曙ワ、六歳かしら?」

狐子は二、三歳の女の子の姿に化けました。「今、何歳?」と、次は八書繧フ老女の姿に化けました。「今どは?」と言って、元の姿に戻りました。「実は、狐としてはまだ若いんだけど、私の年は老中と変わらないのよ」

ゆきは額に手を当てて考え込んでしまいました。「分からない。理解できない。混乱して、頭が痛くなってきたわ。どうやって老中を知るようになったの?」

狐子は、「長い話だよ。日がもうすぐ沈むから、部屋に行こう」と、ゆきの手を取り、城の門へ向かって歩き始めました。
Last edited by richvh on Wed 04.11.2007 7:10 am, edited 1 time in total.
Richard VanHouten
ゆきの物語
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RE: ゆきの物語

Postby richvh » Wed 04.11.2007 7:12 am

Chapter 53. Corrections received from ryokondo, miha and gorou; I just received corrections from furin, but haven't incorporated them yet.

第五庶O章
狐子の話

ゆきと狐子がゆきの部屋に着いた後、女将が洗濯したものを棚に入れていました。ゆきは息をついた後で、「女将さん、狐子ちゃんが帰ってきたんです。狐子ちゃん、こちらはわたしが働いていた温泉の女将さんなんです」と紹介しました。

狐子と女将が挨拶を交わした後で、ゆきは、「女将さん、今晩狐子ちゃんと二人でささやかな宴を楽しむつもりだと殿に伝えてください。それから、今晩のお客の約束を延期して、台所から二人前の料理を送らせてください」と頼みました。

女将が去ってから、二人は窓の側の隅に腰を降ろしました。「今、どうやって老中を知るようになったのかを教えてくれない?」

「うん。何から話したらいいかしら。ああ、分かった」

「昔々、ある狐の女性が侍を愛してしまった。しばらくして、二人は結婚したが、殿の命令に従い、その侍はすぐに出陣した。二、三ヶ月が過ぎた後で、殿の兵隊が戻ってきたが、兵の中には、その侍を見つけることができなかった。夫のことについて尋ねると、彼は戦没してしまったと伝えられた」

「狐妻は悲しみに打ちひしがれて、できるだけ早く自分の家族のところに戻ると決めた。でも、もう妊娠してしまったと分かっていたから、まだ戻ってはいけないと考えた。人間の子を狐の中で育てるのはだめだと思った。だから、侍の家族のところに移り住んだ」

ゆきは話を遮りました。「どうしてまだ帰ることができないの?狐と人間の子供ってどんなの?」

狐子は答えました。「そんな子はいつも人間の姿なの。人間の中で育てれば、たいてい天才になるけど、狐の中のなら、小狐さえとも競えなくて、普通に馬鹿だと感じてしまうわ」

ゆきが「分かった」と答えると、廊下から二人の耳に声が聞こえました。「入ってもいい?」と聞こえ、若殿だと分かりました。

二人が「もちろん」と言うと、若殿は障子を開け、部屋の中に上がり込みました。「狐子、おかえり」と挨拶しました。

ゆきは、「狐子ちゃんがうちの老中と関係がある話をしています」と説明すると、「俺も聞いてもいい」と、答えを待たないでゆきの隣に腰を降ろしました。

狐子は続けました。「とにかく、妊娠してしまった狐妻が戦没してしまった侍の夫の家族に移り住んだ。来る日も来る日も、来る月も来る月も、狐妻は悲しみに打ちひしがれたまま、お腹が大きくなり続けた。ついに、狐妻は赤ちゃんを産んだ。でも、その子の姿を見ることを拒もうと、はっきりと心に決めた。義母を頼んでも、きっぱり断った。一度見ると、離れるのに耐えられないと考えたからだ」

「その夜、狐妻は家から消えて、その辺りの川に飛び込んで、自分の家族のところに帰った。その後ずっと人間の土地に戻ったことはない。それに、今までも自分の住みかに独りで住み続けている。それなのに、その子のことを忘れなかった。弟に自分の子を守ってもらうように頼み、約束した。」

「その翌朝、侍の家族は狐妻の不在に気付いた後で、彼女を求めて、家の辺りを歩き回った。しかし、とうとう川で溺れ死んだと思い込んだ」

「一方、家族の女性は乳母を探していた。間もなく、二、三日前に無くなった農民の赤ちゃんのことを思い出し、その赤ちゃんの母親を乳母で雇うために尋ね求めた」

ゆきは声を上げました。「その子はろうじゅうのことかりら?」と聞くと、狐子は答えました。「違うよ。女の子だったわ」

「ええと。そんなに詳しい説明は要らないだろう」

「来る年も来る年も、狐妻の娘は背が伸びた。綺麗に、賢くなっていった。特別な才狽ヘ茶道だった。ようやく、その国の若殿の目を引き、すぐに二人は結婚した。狐妻の弟が姪っ子を守り続け、普段は遠くから見守っていたが、時々人間の姿に化け、姪っ子のところに訪ねた」

「間もなく、狐妻の娘に息子が産まれた。その頃、狐妻の弟にも娘が産まれた」

「でも、今夕食が準備したようね。また後で続けようと思ってる、いただきます!」と狐子は言うと、ゆきと若殿は首が後ろに向きました。二人が狐子の話を聞きながら、女将は食事を持っている炊婦を連れてきて、静粛に卓袱台に三人前の飯を置きました。暗くなっていたから、女将は蝋燭に火をつけていました。


Edit: corrections from furin incorporated

第五庶O章
狐子の話

二人がゆきの部屋に着いた時、女将が洗濯したものを棚に入れていました。ゆきは息をついた後で、「女将さん、狐子ちゃんが帰ってきたんです。狐子ちゃん、こちらはわたしが働いていた温泉の女将さんなんです」と紹介しました。

狐子と女将が挨拶を交わした後で、ゆきは、「女将さん、今晩狐子ちゃんと二人でささやかな夕食を楽しむつもりだと殿に伝えてください。それから、今晩のお客の約束を延期して、台所から二人前の料理を運ばせてください」と頼みました。

女将が去ってから、二人は窓側の隅に腰を降ろしました。「さあ、どうやって老中を知るようになったのかを教えてくれない?」

「うん。何から話したらいいかしら。ああ、分かった」

「昔々、ある狐が侍を愛してしまいましたとさ。しばらくして、二人は結婚しましたが、殿様の命令に従い、その侍はすぐに出陣しました。二、三ヶ月が過ぎた後で、兵たちは城へ戻ってきたが、その中に夫の姿を見つけることはできませんでした。夫のことについて尋ねると、彼は戦死してしまったと教えられました」

「妻の狐は悲しみに打ちひしがれて、できるだけ早く自分の家族のところに戻ろうと決めました。でも、すでに妊娠していることが分かっていたので、まだ戻ってはいけないのだと考えました。人間の子を狐の中で育てるのは難しいと思ったからです。そういうわけで、狐は侍の家族のところに移り住みました」

ゆきは話を遮りました。「どうしてまだ帰ることができないの?狐と人間の子供ってどんなの?」

狐子は答えました。「見た目は人間の姿になることが多いの。人間の中で育てば、たいてい神童だということになるわね。でも狐の中だと小狐にさえ勝てない、弱い狐になってしまうわ」

ゆきが「へぇ。そういうものなの」と答えると、廊下の方から声がしました。「入るよ」と言う声で、若殿だと分かりました。

二人が「もちろん」と言うと、若殿は障子を開け、部屋の中に入って来ました。そして「狐子、おかえり」と挨拶をしました。

ゆきは、「狐子ちゃんがうちの老中との関係を話してくれています」と説明すると、「私も聞いていいかな」と、答えを待たないでゆきの隣に腰を降ろしました。

狐子は続けました。「とにかく、妊娠していた妻の狐は、戦死した夫の家族の家に移り住みました。来る日も来る日も、狐は悲しみに打ちひしがれたままで、お腹はどんどん大きくなり続けました。そしてついに、狐は赤ちゃんを産みました。でも、その子の姿を見ることを拒もうと、はっきりと心に決めたのでした。いくら義母が頼んでも、きっぱりと断りました。一度見てしまうと、離れるのが耐えられなくなると考えたからです」

「その夜、狐は家出て近くの川に飛び込み、自分の家族のところに帰りました。その後二度と人間の土地に戻ることはありませんでした。そして、今でも自分の住みかに独りで暮らしています。それども、その子のことを忘れていませんでした。弟の狐に自分の子を守ってくれるように頼み、約束をしました。」

「その翌朝、侍の家族は嫁の不在に気付き、彼女を捜して、村中を歩き回りました。しかし、とうとう最後は川で溺れ死んだと思い込んだのです」

「その騒ぎの中、侍の母親は二、三日前に農家の赤ちゃんが亡くなったことを思い出し、その赤ちゃんの母親を乳母として迎え入れました」

ゆきは声を上げました。「その子が老中なのかしら?」と聞くと、狐子は答えました。「違うよ。女の子だったわ」

「年が経つにつれ、狐の娘はすくすくと育ち、綺麗に、賢くなっていきました。その娘の特別な才狽ヘ茶道でした。縁があってその国の若殿の目を引き、すぐに二人は結婚しました。狐の弟が姪っ子を守り続け、普段は遠くから見守っていましたが、時々人間の姿に化け、姪っ子のところを訪ねたりもしました」

「間もなく、狐の娘に息子が産まれました。その頃、狐の弟にも娘が産まれました」

「ああ、夕食の準備が整ったようね。また後で続けるわ、いただきます!」と狐子が言うと、ゆきと若殿は後ろを振り返りました。二人が狐子の話に聞き入っている間に、女将は女中に命じて三人前のお膳を用意させていたのです。いつの間にか暗くなっていたので、女将は蝋燭に火をつけました。
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ゆきの物語
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RE: ゆきの物語

Postby richvh » Tue 05.01.2007 9:02 pm

Chapter 54 (most has been checked by ryokondo, I'm waiting for corrections from furin)

第五庶l章
狐子の話の終わり

三人が「ごちそうさまでした」と言うと、すぐにゆきと若殿は話を続けてほしいと頼み始めました。

ゆきが、「あの時の男の子が、今の老中かしら?」と言うと、若殿は「違う。老中は殿の家系じゃないよ。だけど、その狐親子は誰かを私達は知ってるかな」と言いました。

狐子は顔が真っ赤になりました。「話は、どこだったかしら?ああ、分かった」

「月日が経ち、若殿の息子は強くて勇敢に育ちました。その城の同じ歳の者は皆、彼に忠誠を尽くすことを惜しみませんでした。隣の国の若殿は同様に、腹心の友のことを望みました」

「その小狐も育っていました。従姉は人間なので、必然的に興味の対象は人間のことになりました。人間の姿に化けるのを習った後で、時々父親と一緒に従姉のところに訪ねることを許されました。その間、従姉の息子や彼の親友の知り合いになりました」

「若殿の息子は若者に育ちました。すぐに、国をもっと繁栄させるために、隣の国の姫と結婚しました。しばらくすると、二人の間に娘が産まれましたが、その子の母親は産後のとき病気になって、すぐに亡くなってしまいました」

「それよりも、時代は危うい状況へと流れました。それぞれの国は将軍の命令を無視して、隣の国と戦い始めました。日本のあちこちで戦がありました。この戦国時代が始まりました」

「狐の土地でも戦いが始まりました。狐の家族は色々な妖怪に攻撃されました。そういうわけで数ヶ月の間、狐は姪っ子を見守るのをできなくなりました。でも、娘が従姉と一緒に住もうと頼んでいるので、あそこに行かせました」

「娘が城に着いたとき、城内のあちこちは混乱してしまいました。殿様や若殿が戦死してしまった後で、従姉の息子は兵たちを再結集し、城に退却したばかりでした。攻撃している殿様は鬼と味方になったという奄ェ城内のあちこちに広まっていました。間もなく、殿になった若者は龍城を持ち堪えるために準備していました。他の国に助けてくれるように使者を送りましたが、例え亡くなった妻の国からさえも、返答はありませんでした」

「小狐は手伝ってあげようとしましたが、まだ尻尾が一本しかない狐でしたので、まだ強い呪文を使うことができませんでした」

「しばらくすると、敵たちが城の外に着きました。龍城は始まりました」

「時々敵営の中に巨漢の鬼を見たことがありましたが、鬼が見えない時が多かったです。鬼が国のあちこちを荒らしているという奄ヘ城内に広まっていました」

「ようやく、隣の国の若殿の内から数人が秘密に城に入ってきました。若殿たちは、仲間を手伝いに来ているが、新しい殿様は若すぎるし、技量を見せるところはないし、自分の国は危険にさらされているし、親は他の加勢を受ける嵐閧ヘない。実は、俺がここに来ているのを親は知らない、と」

「籠城が続いている間に、小狐は城の人たちをよく知るようになりました。その中には殿の特別な仲間がいました。小狐もその男の人が好きになりました」

「来る日も来る日も、城にある兵糧はだんだん無くなりました。でも、結局、落城の近因は飢餓よりむしろ敵たちの猛攻撃でした。ある日、鬼がまた敵営に見えて、敵の大将と相談したようでした。ついに、鬼は敵たちと一緒に城を攻撃すると合意したようでした。間もなく、鬼は大きい岩を外郭に投げ込み始めました。同時に、敵の兵たちは全員は並んで、城の方へ向かって歩いてきました」

「一方、城内では、殿は自分の兵たちを集め、勇気づけるような言葉を言って、外郭の上に送りました。でも、心の中で、これは終わりか、と思っていました」

「殿も外郭の上に行った前に、小狐は声を出しました。殿、失礼いたしますが、秘密の出口をお見つけいたしました。ご覧くださいませんか、と。殿は、できないけど、母上に見せて、赤子と一緒に三人で逃げてくれ、と。それから、小狐は深く頭を下げ、従姉を探しに立ち去りました」

若殿は声を出しました。「人間のお嬢さんの姿をしても、あの小狐がそれほど丁寧に喋っていたとは、ちょっと信じにくいな」と、狐子の顔を見つめました。

狐子の顔はまた真っ赤になりました。ゆきは若殿の方に首を向きました。「あなた、どうしてそのような事を言うの?それは狐子ちゃんの話だから、狐子ちゃんの好きな言い方で話してもらう方がいいんじゃないの?」と、また狐子の方へ向きました。「それから、何が起こったの?」

狐子はまた続けました。「従姉を探す途中、小狐は彼氏に出会いました。『殿の命令に従って、お母様と姫様と一緒に秘密の出口で逃げるために、あの者たちを探しております。手を貸してくださいませんか』、と。彼は、『もちろん。しかし、殿がまだここに残るなら、俺は逃げることができない。出口までしか行ってはいけない」、と。それから二人は一緒に殿の家族を探しました。

「間もなく、従姉の部屋に着きました。『おばさま、殿が私とお娘さまと一緒に逃げろとおっしゃいました。連れていってくださいませんか』、と。」

「従姉は、『息子がそう言ったのなら、危険が高いに違いありません。ちょっと待って。荷物を集めた方がいいです』、と。それから三人はさっさと荷物を集めました。従姉はその中に彼女にとって大切な本を二冊入れました。従姉の孫娘を持ちながら、小狐を城の最下階の地下室まで連れてきました」

「あそこには地下道の入口がありました。そこに着いてから、彼氏は、『あそこに行かなければなりません。さようなら』、と。小狐は、『さようならを言わないでください。その代わりに、また会いましょう』、と」

「それから彼氏は戦に戻り、残った三人は地下道を入って行きました」

「この地下道は小狐が見つけたものというより、むしろ作ったものでした。籠城の始めから、毎夜秘密に少しずつ掘りました。昨夜、努力はついに実りました」

「しばらくすると、小狐たちが地下道の出口に着きました。辺りを見回すと、城から敵営の反対側にいました。城の方を見ると、分厚くて黒い煙が城から空に上がっていました」

「従姉は泣き伏しました。『息子よ、なぜそんな若さで亡くなるの?普通なら親が子供の葬儀を見るはずがない』、と」

「小狐は従姉の顎の下に手をつけて、泣き顔を上げました。『おばさま、殿が戦没するかどうか分かるわけはありません。今、息子さんより孫娘さんのことを考えてください』、と」

「従姉は『はい』と、泣き止まないで孫娘を抱きしめて立ち上がりました。『ここにもう留まることができないのなら、故郷に戻りたい』と、城に背を向け、歩き始めました。小狐は後ろに連れて行き、狐のお呪いのおかげで二人の足跡を消し去りました」

「従姉の故郷に着いた時、その村には壊れた家しか見えませんでした。鬼が衝撃したのが分かりました。『ここにも留まることができないらしい。私のかけがえのない思い出の場所は全部破壊されてしまった。どこへ行く方がいいかしら』と、嘆きながら従姉は頭を下げました。小狐は、『隣の国にある小さな村を知っています。あそこで密かに暮らすことができるでしょう。それはいかがでしょうか』、と。それから三人はその村の方へ向かっていきました」

「その村は狐の土地にごく近い所でした。小狐は、従姉があそこにいるなら、父上の姪っ子を守るという約束を果たしやすくなるだろうと思いました。そういうわけで、その村に従姉を導きました」

「従姉がその村に住まいを見つけたのを確かめた後で、小狐は自分の住処に帰って、父上に籠城や従姉との旅のことを伝えました。それから、小狐は彼氏が籠城で生き残ったかどうか確認するためにあちこちに行って、彼氏のことを尋ねました。ようやく、数ヶ月の後で、彼氏が、殿が鬼に殺されたのを見た後で、数人の兵や若殿と共に地下道で城から逃げたというのを聞いたが、彼氏の行方のを全然聞くことはありませんでした。少しずつ、彼氏のことより、むしろ人間のことを知るために日本のあちこちに徘徊するようになりました」

「一方、父上は姪っ子を見守り続けました。姪っ子は孫娘を育て、読書や茶道を教えました。ある日、姪っ子が亡くなった後で、孫娘はその村から出発して、しばらくすると小狐の父上に会いました」

ゆきは声を出しました。「へえ?その子は私なの?」狐子がうなずいた後で、「狐子ちゃんや狐どのは私の血縁なの?どうして前に教えてくれなかったの?」

狐子はこう答えました。「伯母の願いだったの。でも、私はここから離れている間、よく伯母と話し合った。私がゆきちゃんの友人になったから、ついに伯母はこの話をすることに合意してくれた」

ゆきはまた聞きました。「昔の彼氏はここの老中で、彼のことに興味がまだあるのなら、どうして数週間私たちと一緒に国のあちこちに旅したの?」

狐子は溜息をついた。「昔から彼のことをあまり考えていなかったし、彼は私のことを覚えるかどうか分からなかったし、ちょっと恥ずかしく感じてしまったの。実は、この間会うことはない。でも、その嫌な雄狐らに遭った後で、彼と会って見ることにした」

ゆきはずる賢い笑みをしました。「今晩はどう?」

若殿は声を上げました。「うん。いい考えだ」と言うと、女将の方を見ました。「お前、老中のところに行って、ここに来なさいと言いなさい。狐子、どこかで忍びなさい」と命令しました。

女将は深い黙礼をして、立ち去りました。一方、狐子は猫の姿に化け、棚の上に飛び上がりました。


Edit: With corrections from furin:

第五庶l章
話の続き

三人が「ごちそうさまでした」と言うと、すぐにゆきと若殿は話を続けてほしいと頼みました。

ゆきが、「その時の男の子が、今の老中なのかしら?」と言うと、若殿は「違う。老中はその殿の家系ではないよ。だけど、その狐親子は誰かということを、私達は知ってるね」と狐子に言いました。

狐子は顔が真っ赤になりました。「話は、どこまでだったかしら?ああ、思い出した」

「月日が経ち、若殿の息子は強くて勇敢に育ちました。その城の同じ歳の者は皆、彼に忠誠を尽くしましたし、隣の国の若殿も盟友となることを望みました」

「その小狐も成長していました。従姉は人間なので、必然的に興味の対象は人間のことになりました。人間の姿に化けることが出来るようになってからは、父親と一緒に従姉を訪ねることもありました。そうこうしている内に、従姉の息子や仲間達と知り合いになりました」

「若殿の息子は、成人してから政治上の駆け引きのために隣国の姫と結婚しました。しばらくすると、二人の間に娘が産まれましたが、母親の方は産後の肥立ちが悪く、すぐに亡くなってしまいました」

「その頃から、時代は不穏な状況へと流れていきました。それぞれの国は将軍の命令を無視して、隣国と戦い始めました。日本のあちこちで戦がありました。こうして戦国の世が始まったのです」

「狐の里でも戦が始まりました。狐の一族は様々な妖怪に攻撃されました。そういうわけで数ヶ月の間、狐は姪っ子を見守ることができなくなりました。でも、娘が従姉と一緒に住みたいと頼んだので、望み通りにさせることにしました」

「娘が城に着いた時、城内の混乱の坩堝と化していました。殿様や若殿が戦死してしまった後で、従姉の息子は兵たちを再び集め、城に退却したばかりでした。敵の殿様は鬼に組んでいるという奄ェ城内のあちこちに広まっていました。一方、殿になった若者は籠城のための準備を進めていました。他の国に助けてくれるように使者を送りましたが、亡くなった妻の国からさえも、返答はありませんでした」

「小狐は手伝ってあげようとしましたが、その時は尻尾が一本しかない狐でしたから、まだ強い呪文を使うことができませんでした」

「しばらくすると、敵軍が城の外に着きました。そして籠城が始まりました」

「時々、敵営の中に巨漢の鬼が見えまし。鬼が国のあちこちを荒らし回っているという奄ヘ城内に広まっていました」

「ようやく、近隣諸国の若殿たちが秘密裏に城に入ってきました。しかし彼らは、援軍に来てはいるが、ここの殿様は若く、どのくらいの技量を持っているのかも分からない。しかも我々の国は危険にさらされており、他の加勢を受けるあてもない。にもかかわらず殿たちの反対を押し切って来ているのだ、と言いました」

「籠城の数日間で、小狐は城の人たちと親しくなりました。その中には殿の腹心の家来がいました。小狐はその男の人が好きになりました」

「日に日に、城の兵糧は減っていきました。でも結局のところ、落城の原因は飢餓ではなく敵の総攻撃だったのです。ある日、鬼がまた敵営に姿を現し、敵の大将と相談していたようでした。そしてついに、鬼は敵軍と一緒に城を攻撃することに合意したようでした。間もなく、鬼は大きな岩を城郭に投げつけ、破壊し始めました。同時に、敵兵たちは全員隊列を組んで、一斉に攻撃を仕掛けてきました」

「一方、城内では、殿は自分の兵たちを集め、勇気づけるような言葉を言って、外郭の上に送りました。でも、心の中で、これは終わりか、と思っていました」

「殿も外郭の上に行った前に、小狐は声を出しました。殿、失礼いたしますが、秘密の出口をお見つけいたしました。ご覧くださいませんか、と。殿は、私が開くことはできないけど、母上に見せて、赤子と一緒に三人で逃げてくれ、と。それから、小狐は深く頭を下げ、従姉を捜すために立ち去りました」

若殿は声を出しました。「人間のお嬢さんの姿をしても、あの小狐がそれほど丁寧に喋っていたとは、ちょっと信じにくいな」と、狐子の顔を見つめました。

狐子の顔はまた真っ赤になりました。ゆきは若殿の方に顔を向けました。「あなた、どうしてそのような事を言うの?それは狐子ちゃんの話だから、狐子ちゃんの好きな言い方で話してもらう方がいいんじゃないでしょうか?」と、また狐子の方へ向きました。「それから、何が起こったの?」

狐子はまた続けました。「従姉を捜す途中、小狐は秘かに心を寄せている殿の家来に出会いました。それで、殿の命令に従って、お母様と姫様と一緒に秘密の出口で逃げるために、お二人を捜しているのですが手を貸してくださいませんかと頼みました。彼は、そうしたいのだが、殿がまだここに残るおつもりなら、自分だけ逃げることはできない。出口までしか行ってあげられないと答えました。それから二人は一緒に殿の家族を捜しました。

「間もなく、従姉の部屋に着きました。おばさま、殿が私とお嬢様と一緒に逃げろとおっしゃいました。連れていってくださいませんか、と話しました」

「従姉は、息子がそう言うのなら随った方が良いでしょう。ちょっと待って。荷物をまとめるので少し待つように、と答えました。小狐たちもが手伝ったのですぐにそれは終わりました。従姉はその中に彼女にとって大切な本を二冊入れました。従姉の孫娘を抱きかかえながら、小狐を城の最下階の地下室まで連れてきました」

「辿り着いた所には地下道の入口がありました。殿の家来は、私は戻らなければなりません。さようなら、と言いました。小狐は、さようならなんて言わないでください。また会えると信じています』、と答えました」

「それから彼は戦に戻り、残った三人は地下道を入って行きました」

「この地下道は小狐が見つけたものというより、彼女が作ったものでした。籠城の始めから、毎夜秘密に少しずつ掘り進んでいたのです。前日の夜、努力の甲斐あって外に通じたのでした」

「穴の中をしばらく歩くと、小狐たちは地下道の出口に着きました。辺りを見回すと、そこは城を囲む敵営の背後でした。城の方を見ると、分厚い黒煙がもうもうと上がっていました」

「息子よ、なぜこんな若さで死んでしまうの?親が子供の葬儀を見るなんて、と従姉は泣き伏しました」

「小狐は従姉の泣き顔の前に屈みこんで言いました。おばさま、殿が討ち死になさるとは限りませんよ。今はそれよりお嬢様のことを考えてください、と」

「従姉は涙を流しながら孫娘を抱きしめて立ち上がりました。ここにもう留まることができないのなら故郷に戻りたい、と言って城に背を向け、歩き始めました。小狐はその後ろに付いて歩き、狐のおまじないを使って二人の足跡を消し去りました」

「従姉の故郷に着いてみると、そこには壊された家しかありませんでした。明らかに鬼が村を攻撃したのでした。ここにも留まることができないらしい。私のかけがえのない思い出の場所は全部破壊されてしまった。一体どこへ行けばいいのかしら、と嘆きながら従姉はうなだれました。小狐は、隣の国にある小さな村を知っています。そこなら密かに暮らすことができるでしょう。いかがでしょうか、と言いました。それから三人はその村の方へ向かって歩きました」

「その村は狐の里にごく近い所にありました。小狐は、従姉があそこにいるなら、父上の姪っ子を守るという約束を果たせるだろうと思いました。そういう理由から、近くの村に従姉を連れてきたのです」

「従姉がその村に住まいを見つけたのを確かめた後で、小狐は自分の住処に帰って、父上に籠城や従姉との旅のことを伝えました。それから小狐は、例の若い家来が籠城で生き残ったかどうか確認するために、あちこちで彼のことを尋ね回りました。数ヶ月後になってようやく、殿が鬼に殺されたのを見た後に、その家来が数人の兵や若殿と共に地下道で城から逃げたというのを知りました。でも彼の消息は結局つかめませんでした。それからは、人間のことを良く知りたいと思って、日本各地を旅するようになりました」

「一方、父上は姪っ子を見守り続けました。姪っ子は孫娘を育て、読書や茶道を教えました。その村で暮らして署粕Nという長い年月のうちに、狐が見守っていた姪っ子も老婆となり、やがて静かに人生の幕を閉じました。少し経ったある日、身寄りのなくなった孫娘はその村を出ました。そしてしばらく後に小狐の父親に会いました」

ゆきは声を出しました。「え?その子が私なの?」狐子がうなずいた後で、「狐子ちゃんや狐どのは私の血縁者なの?どうして前に教えてくれなかったの?」

狐子はこう答えました。「伯母の願いだったの。でも、ここを離れている間、伯母と私はよく話し合ったものよ。私がゆきちゃんと仲良くなったから、ついに伯母はこの話をすること許してくれたの」

ゆきはまた聞きました。「昔好きだった人がここの老中で、彼のことまだ想っているのなら、数週間私たちと一緒に国中を旅して回ったのはどうしてなの?」

狐子は溜息をつきました。「昔からあの人のことよりむしろ人間自体に興味があったし、彼が私のことを覚えているかどうかさえ分からなかったし。それに、ずっと会っていなかったから、ちょっと恥ずかしかったの。でも、れいのお見合いの間抜けな雄狐たちに会わされてから、彼ともう一度会ってみたいと思うようになったの」

ゆきは悪戯っぽく笑いました。「今晩はどう?」

若殿は声を上げました。「うん。いい考えだ」と言うと、女将の方を見ました。「老中のところに行って、ここに来るように言いなさい。狐子は隠れて待っていなさい」と命じました。

女将は深く黙礼をして、立ち去りました。一方、狐子は猫の姿に化け、棚の上に飛び乗りました。
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Richard VanHouten
ゆきの物語
richvh
 
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RE: ゆきの物語

Postby richvh » Sun 06.10.2007 8:00 am

Chapter 55. Ryokondo has checked most of it, with some corrections from miha, and Elf Stein has made some suggestions. I have gotten corrections from furin on the very beginning, but he has been busy lately and I don't know how long it will take him to finish going through it.

第五曙ワ章
老中の話

しばらくして女将が老中と一緒に戻ってきました。老中は、「殿、ご用命を承ります」と言いながら頭を下げました。

若殿は中に入るように手招きしました。「ここに来なさい。聞きたいことがあるから」と言いながら狐子がさっきまで座っていた場所を指さしました。

ゆきは声を上げました。「どのように父上様とお会になられたり、父上様の時代にどのようなことをなされたのでしょうか。また、どういう経緯で他国の殿の代理となられたのかお話しください」

老中は深く頭を下げ、そして指示された場所に腰を下ろしました。「私の父はこの国の侍で、幼い頃より殿に仕えておりました。そのようなわけで、自分と年を同じくする殿のお孫様を、度々お見かけする機会がございました。時折、お孫様は同じくらいの年頃のお子様と、こっそりと城を抜け出しては外でお遊びになっていらっしゃいました。そして次第に、お孫様とお話できるようになったのでございました」

「武術の稽古の間、お孫様はいつもお子様の中では、一番の剣士でございました。そして他の方々同様、この私もお孫様にお仕えできれば幸いと思っておりました」

「私のできることと言えば武術などではなくお役所仕事などでございました。ですから、すぐに城の中に殿の命令や殿への報告を写したりいたしました」

「お孫様は立派な若者になられ、すぐに隣国の姫とご結婚なさいました。しばらくして、二人の間でお嬢様がお産まれになりました。私が、どの名前を家系図に書き込むかと垂オたとき、ゆきという返答をなさいました」

「その頃、政治のことは難しくなりました。田舎侍と大名、大名と大名、大名と将軍、そういう仲間は全部張り切ってきて、ついに壊しました。山火事に梢から梢に火が飛ぶような速度、妖怪が田舎侍を嗾けているという奄ェ広まりました。いつの間にか田舎侍に攻撃され、攻め滅ぼされた大名がお増えになりました」

「同じように、この国は賊軍に攻撃されました。殿は忠臣を集め、その賊軍を追い捲るために城からお出かけになりました。しかし、その途中、狭い谷の中で迎え撃たれました。いつの間にか投げた岩が中堅にいらっしゃた殿を打ち殺し、敵軍が先陣にいらっしゃった若殿を親衛閉と共に早く囲んで殺しました。後軍にいらっしゃったお孫様ができるだけ多くの潰走していた兵たちを再び集め、整然と城へ退いていらっしゃいました」

「殿になったお孫様が城に帰ってくるやいなや、籠城のための準備を始めました。その内は近隣諸国への助けてくれるようにという手紙を私にお書かせになりました」

「そういう手紙の返答を受ける前に、敵軍が城の外に見えました。包囲が始まったのです」

「その頃、城内のあちらこちらに手伝っている赤毛のお嬢様に気付いてきました。そのお嬢様はその前に城に見えることをあまり覚えませんでしたが、その間、どの方へ私が向いても、彼女の姿が見えるようでした。すぐに彼女は私の心を罠に引掛てしまったのでございます」

「時折、敵営の中に巨大な鬼が見えました。そのような鬼が岩を投げて元殿を殺したそうでございました」

「少ししばらくすると、近隣諸国から数人の若殿が秘密裏に城に入ってきました。その内には我が殿の父上がいたのでございます。これはできるだけ援兵であるというその人達の父親たちから返答を持ってきました」

「数ヶ月が過ぎた後で、その鬼がまた敵営に見えた時に、殿が兵たちを集め、外郭を守れと命令しました。敵軍が総攻撃を始めたようでしたから、武士ではない私も武器を手に入れに参りました。その途中、私の心を捉まえた女の子にお出会いしました。お嬢様の言うことは、殿の家族と一緒に逃げろと殿が仰ったのでした。私が手伝ってあげるようにというお願いもありました。できるだけ手伝ってあげるが、殿の命令がなければ、逃げるなど出来ないというように答えました。それからお嬢様と一緒に殿のお母様の部屋に参りました」

「殿の家族を集めた後で、お嬢様に連れて城の地下へ下りて行きました。そこに辿り着くと、あっという間に地下道の入口に気付きました。子供の頃、私がそこでよく遊んでいても、その入口は知りませんでした。一体どうやって、誰が、いつの間にかその地下道を作ったのかが想像できませんでした」

「お嬢様達から離れた後で、武器の探しを続けようとすると、すぐに数人の傷ついた兵や援兵のために来た若殿に出会いました。お嬢様達と一緒にいた間、城壁が滅びて、殿が戦没したようでございました。外を見ると、全ては混乱していました。もう一度殿が本当に死んでしまったのでしょうかと若殿達に尋ねると、我が殿の父上がご確認になりました」

「それから若殿たちをお嬢様たちが入っていった地下道に連れてまいりました。地下道を出た後で、お嬢様達の足跡など探そうと致しましたが、何もの跡はございませんでした」

「若殿たちは自分の国に戻るために分かれ始め、一人ずつ兵たちに一緒に行こうという勧誘をしました。私にもそのような勧誘を下さったが、お嬢様たちの跡を見付けるしか考えることはできませんでした」

「空が暗くなるまで一人でその辺りを調べました。次の朝、寝ている間にお母様の故郷を思い出したから、そこへ向かって出ました。しかし、そこに着いたら、誰もいませんでした。それから浪人になって、あちらこちらに回り歩き、赤毛のお嬢さんに会ったことがあるかと誰にも尋ねました。やはり、ほとんどの返答は会ったことはないというものだったが、時折、そのようなお嬢さんの姿を見たという答えが返ってきました。そのような時、あのお嬢さんは今、どこにいると聞くと、もう出たと言われました。どこに行ったのかは分からないという返答をいつももらいました」

「二年ほどそのように続きました。ようやく、籠城していた若殿が一人殿様になったという話を聞きました。その方の国に行って、仕え始め、あのお嬢様のことを忘れようとしました。そうして、ゆき様がここに戻ってくるまで、あそこに仕え続けたのでございます」

ゆきは声を出しました。「その間、 他の女のことが好きになったでしょうね」

老中は、「違います。捜すのを辞めたのに、私の心はまだあのお嬢様の方に向き続けています」と、首を横に振りました。

若殿は問いました。「その子の名前は?」

「ココと呼びました」と老中が言うと、狐子は棚から飛び降ろして、普通の姿に化けました。静かに老中の後ろに歩いてきて、「その時、まだ会いましょうとこの私が言いましたか」と聞きました。

老中は飛んで、後ろの方に向かい、一瞬狐子から身を竦めました。「一体いつの間に!?」それから、奮っている手で狐子の頬を優しく触りました。「何も違いません。本物ですか。狐などの悪計ではありませんか」と問いました。

狐子は気に障ったような撫??オていました。「どうしてそのような質問をしていますか。狐が好きじゃないのですか」と尋ねました。

老中は、「べ…別に。あなたが狐が好きなら、ぜひ私も狐が好きです」と、混乱する撫??オました。

狐子はくすくすと笑いました。「私がずっと狐なら、いかがですか」と訊きました。

老中は首を振りました。「それはありえません。ココはどこから見ても人間でしたよ。そのお嬢さんは狐だったとは思えません」

狐子は紙と筆を取って、漢字を二字書きました。漢字を指さしながら、こう言いました。「これは私の名前です。狐の子供ですから、狐子と垂オます」

老中はまだ首を振っていました。「あなたは人間です。そんな美しいお嬢さんが動物だとはありえません」

「でも本当に狐ですわよ。これは自然な姿です」と言うと、狐の姿に化け、三本の尻尾を腰の上に振りました。「他の姿もできます」と、一つ一つ猫と、鼠と、処黶A二歳の男の子の姿に化け、そして普通の姿に戻りました。「でも、これは昔から普通の姿です。従妹に訪ねるために、この姿に化けるのを習いました」

老中はぼんやりと狐子を見返しました。「い…とこ?」とだけ言いました。

「はい。ゆきちゃんのお祖母さんが父の姉の娘でした」と狐子は説明しました。

老中はこめかみを両手で摩りました。「ゆき様のお祖母様は雌狐の娘だったと言っていますか。それはありえません。その籠城の時代の殿のお母様は侍の家族から来ました。あの方の奥様は隣国の殿様のお嬢様でした。二人はどこから見ても人間でした」

「その殿のお母様は従妹でしたわよ。人間でも、狐の家系の人間でした。父親は人間の侍でしたが、母親は人間の姿に化けた雌狐でした。狐は他の種類の姿に化けると、その同じ種類と子供ができます。雌狐は妊娠している間、姿を化けることができません」と狐子は言いました。「狐にとって、そういう子は狐ではなく、狐が化けていた種類です」

老中はふらふらと立ち上がりました。「色々なことを考えなくてはいけません」と狐子に言うと、若殿の方へ向きました。「そろそろ失礼いたします。お邪魔いたしました」と、うなだれながら去りました。

狐子はただ老中の方へきょとんと見つめました。

「かわいそう」とゆきは呟くと、狐子に声をかけました。「頑張って!」

狐子はただ「はい」と答えました。そして、自分の姿に戻り、隅で縮こまり、鼻を尻尾で覆って目を閉じました。


Edit: with Garappachi's corrections applied

第五曙ワ章
老中の話

しばらくして女将が老中と一緒に戻ってきました。老中は、「殿、ご用命を承ります」と言いながら頭を下げました。

若殿は中に入るように手招きしました。「ここに来なさい。聞きたいことがあるから」と言いながら狐子がさっきまで座っていた場所を指さしました。

ゆきは声を上げました。「どのように父上様とお会になられたり、父上様の時代にどのようなことをなされたのでしょうか。また、どういう経緯で他国の殿の代理となられたのかお話しください」

老中は深く頭を下げ、そして指示された場所に腰を下ろしました。「私の父はこの国の侍で、幼い頃より殿に仕えておりました。そのようなわけで、自分と年を同じくする殿のお孫様を、度々お見かけする機会がございました。時折、お孫様は同じ年頃のお子様方とこっそりと城を抜け出されては外でお遊びになっていました。そして次第に、お孫様とお話できるようになったのでございました」

「武術の稽古の間、お孫様はいつもお子様の中では、一番の剣士でございました。そして他の方々同様、この私もお孫様にお仕えできれば幸いと思っておりました」

「私のできることと言えば武術などではなくお役所仕事などでございました。ですから、すぐに城の中に殿の命令や殿への報告を写したりいたしました」

「お孫様は立派な若者になられ、すぐに隣国の姫とご結婚なさいました。しばらくして、二人の間でお嬢様がお産まれになりました。私が、どの名前を家系図に書き込むかと垂オたとき、ゆきという返答をなさいました」

「その頃、政事は難しい局面にさとかかっていました。田舎侍と大名、大名と大名、大名と将軍、これらの関係は緊張の度を増し、ついには破局を迎えることになったのです。それはまるで山火事の梢から梢へと火の手が飛び移っていくような勢いで、妖怪が田舎侍を嗾けているという奄ェ広まると同時に、田舎侍に攻撃され、攻め滅ぼされる大名が増えていきました」

「同じように、この国も賊軍に攻撃されました。殿は忠臣を集め、その賊軍を追い払うために城からお出陣しました。しかし、その途中、狭い谷の中で迎え撃たれました。どこからか投げられた岩で中堅にいらっしゃた殿は命を奪われ、先陣にいらっしゃった若殿もお付きの者共々、敵軍に素早く取り囲まれ、討ち死になさいました。後詰めでいらっしゃったお孫様はできるだけ多くの潰走していた兵たちを再び集め、整然と城へ退いていらっしゃいました」

「殿になったお孫様が城に帰ってくるやいなや、籠城のための準備を始めました。その内は近隣諸国への助けてくれるようにという手紙を私にお書かせになりました」

「そういう手紙の返答を受ける前に、敵軍が城の外に見えました。包囲が始まったのです」

「その頃、私は城内のあちらこちらで手伝っている赤毛のお嬢様の存在に気付きました。そのお嬢様には見覚えはあまりありませんでしたが、その内、場内の至る所でお見受けするようになり、意識するようになりました。たちまち彼女は私の心を虜にしてしまったのでございます」

「時折、敵営の中に巨大な鬼が見えました。そのような鬼が岩を投げて元殿を殺したそうでございます」

「少しすると、近隣諸国から数人の若殿が秘密裏に城に入ってきました。その中には我が殿の父上がいたのでございます。これは可狽ネ限りの援兵であるという若殿の父親たちからの返答も携えていました」

「数ヶ月が過ぎた後、その鬼がまた敵営に見えた時に、殿が兵たちを集め、外郭を守れと命令しました。敵軍が総攻撃を始めたようでしたので、武士ではない私も武器を手に入れに参りました。その途中、私の心を捉まえた女の子にお出会いしました。お嬢様の言うことには、殿の家族と一緒に逃げろと殿が仰ったの事でした。私にも手伝ってくださいと懇願されました。できるだけ手伝ってあげるが、殿の命令がなければ、逃げる事など出来ないというように答えました。それからお嬢様と一緒に殿のお母様の部屋に参りました」

「殿の家族を集めた後、お嬢様と一緒に連れて城の地下へ下りて行きました。そこに辿り着くと、すぐ地下道の入口が分かりました。子供の頃、私がそこでよく遊んだものでしたが、その入口は知りませんでした。一体どうやって、誰が、いつ、その地下道を作ったのかが想像できませんでした」

「お嬢様達と別れた後で、武器の探しを続けようとすると、すぐに数人の傷ついた兵や援兵のために来た若殿に出会いました。お嬢様達と一緒にいた間、城壁が破壊され、殿が戦没したようでございました。外を見ると、全ては混乱していました。もう一度殿が本当に死んでしまったのでしょうかと若殿達に尋ねると、我が殿の父上がご確認になられたとの事でした」

「それから若殿たちをお嬢様たちが入っていった地下道に連れてまいりました。地下道を出た後で、お嬢様達の足跡など探そうと致しましたが、それらしい跡は何もございませんでした」

「若殿たちは自分の国に戻る分かれ際、各々が兵たちに一緒に行こうと勧誘しました。私にもそのような勧誘を下さったが、お嬢様たちの跡を見付ける事しか考えることはできませんでした」

「空が暗くなるまで一人でその辺りを調べました。次の朝、寝ている間にお母様の故郷を思い出したから、そこへ向かって出ました。しかし、そこに着いたら、誰もいませんでした。それから浪人になって、あちらこちらに回り歩き、赤毛のお嬢さんに会ったことがあるかと誰彼となく尋ねました。やはり、ほとんどの返答は会ったことはないというものだったが、時折、そのようなお嬢さんの姿を見たという答えが返ってきました。そのような時、そのお嬢さんは今どこにいるかと聞くと、もう出た後で、どこに行ったのかは分からないという返答ばかりでした」

「二年ほどそのような事が続きました。ようやく、籠城していた当時の若殿が一人、殿様になったという話を聞きましたので、その方の国に行って、仕え始め、あのお嬢様のことを忘れようとしました。そうして、ゆき様がここに戻ってくるまで、あそこに仕え続けたのでございます」

ゆきは声を出しました。「その間、 他の女のことが好きになったでしょうね」

老中は、「違います。捜すのを止めはしましたが、私の心はまだあのお嬢様の方に向き続けています」と、首を横に振りました。

若殿は問いました。「して、その娘の名は何という?」

「はは、ココと垂オます」と老中が畏まって答える。すると、狐子は矢庭に棚から飛び降り、当時の姿に化けるが早いか。さっと老中の背後に歩い寄り、「あの時、まだお会いしましょうとこの私が垂オましたか」と何事もなかったかのように言いました。

さすがに愚鈍な老中も狐子から身を竦めるように、あわて飛び退き、「いっ、一体いつの間に!?」そして、なおも奮える手で狐子の頬を恐る恐る触れながら、「あっ、あなたは何も変わっていません。ほっ、本物ですか。…狐に化かされているのではあるまいな」と放心の体で呻くように呟きました。

狐子は気に障ったような撫?ナ「どうしてそのような質問をするのですか。狐が好きじゃないのですか」と尋ねました。

老中は、「べっ、別に…。あなたが狐が好きと言うのなら、私も狐が大好きです」と、困惑の色を浮かべながら、やっとのことで答える様子です。

狐子はくすくすと笑いながら「私がずっと狐なら、いかがですか」と訊きました。

老中は首を振りました。「それはありえません。ココはどこから見ても人間でしたよ。あのお嬢さんは狐だったとは思えません」

狐子は紙と筆を取って、漢字を二字書きました。漢字を指さしながら、こう言いました。「これは私の名前です。狐の子供ですから、狐子と垂オます」

老中はまだ首を振っていました。「あなたは人間です。そんな美しいお嬢さんが動物だとはありえません」

「でも本当に狐ですわよ。これは自然な姿です」と言うと、狐の姿に化け、三本の尻尾を腰の上に振りました。「他の姿もできます」と、一つ一つ猫と、鼠と、処黶A二歳の男の子の姿に化け、そして普通の姿に戻りました。「でも、これは昔から普通の姿です。従妹に訪ねるために、この姿に化けるのを習いました」

老中はぼんやりと狐子を見返しました。「い…とこ?」とだけ言いました。

「はい。ゆきちゃんのお祖母さんが父の姉の娘でした」と狐子は説明しました。

老中はこめかみを両手で摩りました。「ゆき様のお祖母様は雌狐の娘だったと言っていますか。それはありえません。その籠城の時代の殿のお母様は侍の家族から来ました。あの方の奥様は隣国の殿様のお嬢様でした。二人はどこから見ても人間でした」

「その殿のお母様は従妹でしたわよ。人間でも、狐の家系の人間でした。父親は人間の侍でしたが、母親は人間の姿に化けた雌狐でした。狐は他の種類の姿に化けると、その同じ種類と子供ができます。雌狐は妊娠している間、姿を化けることができません」と狐子は言いました。「狐にとって、そういう子は狐ではなく、狐が化けていた種類です」

老中はふらふらと立ち上がりました。「色々なことを考えなくてはいけません」と狐子に言うと、若殿の方へ向きました。「そろそろ失礼いたします。お邪魔いたしました」と、うなだれながら去りました。

狐子はただ老中の方へきょとんと見つめました。

「かわいそう」とゆきは呟くと、狐子に声をかけました。「頑張って!」

狐子はただ「はい」と答えました。そして、自分の姿に戻り、隅で縮こまり、鼻を尻尾で覆って目を閉じました。


Edit: With the remainder of Garappachi's corrections applied.

第五曙ワ章
老中の話

しばらくして女将が老中と一緒に戻ってきました。老中は、「殿、ご用命を承ります」と言いながら頭を下げました。

若殿は中に入るように手招きしました。「ここに来なさい。聞きたいことがあるから」と言いながら狐子がさっきまで座っていた場所を指さしました。

ゆきは声を上げました。「どのように父上様とお会になられたり、父上様の時代にどのようなことをなされたのでしょうか。また、どういう経緯で他国の殿の代理となられたのかお話しください」

老中は深く頭を下げ、そして指示された場所に腰を下ろしました。「私の父はこの国の侍で、幼い頃より殿に仕えておりました。そのようなわけで、自分と年を同じくする殿のお孫様を、度々お見かけする機会がございました。時折、お孫様は同じ年頃のお子様方とこっそりと城を抜け出されては外でお遊びになっていました。そして次第に、お孫様とお話できるようになったのでございました」

「武術の稽古の間、お孫様はいつもお子様の中では、一番の剣士でございました。そして他の方々同様、この私もお孫様にお仕えできれば幸いと思っておりました」

「私のできることと言えば武術などではなくお役所仕事などでございました。ですから、すぐに城の中に殿の命令や殿への報告を写したりいたしました」

「お孫様は立派な若者になられ、すぐに隣国の姫とご結婚なさいました。しばらくして、二人の間でお嬢様がお産まれになりました。私が、どの名前を家系図に書き込むかと垂オたとき、ゆきという返答をなさいました」

「その頃、政事は難しい局面にさとかかっていました。田舎侍と大名、大名と大名、大名と将軍、これらの関係は緊張の度を増し、ついには破局を迎えることになったのです。それはまるで山火事の梢から梢へと火の手が飛び移っていくような勢いで、妖怪が田舎侍を嗾けているという奄ェ広まると同時に、田舎侍に攻撃され、攻め滅ぼされる大名が増えていきました」

「同じように、この国も賊軍に攻撃されました。殿は忠臣を集め、その賊軍を追い払うために城からお出陣しました。しかし、その途中、狭い谷の中で迎え撃たれました。どこからか投げられた岩で中堅にいらっしゃた殿は命を奪われ、先陣にいらっしゃった若殿もお付きの者共々、敵軍に素早く取り囲まれ、討ち死になさいました。後詰めでいらっしゃったお孫様はできるだけ多くの潰走していた兵たちを再び集め、整然と城へ退いていらっしゃいました」

「殿になったお孫様が城に帰ってくるやいなや、籠城のための準備を始めました。その内は近隣諸国への助けてくれるようにという手紙を私にお書かせになりました」

「そういう手紙の返答を受ける前に、敵軍が城の外に見えました。包囲が始まったのです」

「その頃、私は城内のあちらこちらで手伝っている赤毛のお嬢様の存在に気付きました。そのお嬢様には見覚えはあまりありませんでしたが、その内、場内の至る所でお見受けするようになり、意識するようになりました。たちまち彼女は私の心を虜にしてしまったのでございます」

「時折、敵営の中に巨大な鬼が見えました。そのような鬼が岩を投げて元殿を殺したそうでございます」

「少しすると、近隣諸国から数人の若殿が秘密裏に城に入ってきました。その中には我が殿の父上がいたのでございます。これは可狽ネ限りの援兵であるという若殿の父親たちからの返答も携えていました」

「数ヶ月が過ぎた後、その鬼がまた敵営に見えた時に、殿が兵たちを集め、外郭を守れと命令しました。敵軍が総攻撃を始めたようでしたので、武士ではない私も武器を手に入れに参りました。その途中、私の心を捉まえた女の子にお出会いしました。お嬢様の言うことには、殿の家族と一緒に逃げろと殿が仰ったの事でした。私にも手伝ってくださいと懇願されました。できるだけ手伝ってあげるが、殿の命令がなければ、逃げる事など出来ないというように答えました。それからお嬢様と一緒に殿のお母様の部屋に参りました」

「殿の家族を集めた後、お嬢様と一緒に連れて城の地下へ下りて行きました。そこに辿り着くと、すぐ地下道の入口が分かりました。子供の頃、私がそこでよく遊んだものでしたが、その入口は知りませんでした。一体どうやって、誰が、いつ、その地下道を作ったのかが想像できませんでした」

「お嬢様達と別れた後で、武器の探しを続けようとすると、すぐに数人の傷ついた兵や援兵のために来た若殿に出会いました。お嬢様達と一緒にいた間、城壁が破壊され、殿が戦没したようでございました。外を見ると、全ては混乱していました。もう一度殿が本当に死んでしまったのでしょうかと若殿達に尋ねると、我が殿の父上がご確認になられたとの事でした」

「それから若殿たちをお嬢様たちが入っていった地下道に連れてまいりました。地下道を出た後で、お嬢様達の足跡など探そうと致しましたが、それらしい跡は何もございませんでした」

「若殿たちは自分の国に戻る分かれ際、各々が兵たちに一緒に行こうと勧誘しました。私にもそのような勧誘を下さったが、お嬢様たちの跡を見付ける事しか考えることはできませんでした」

「空が暗くなるまで一人でその辺りを調べました。次の朝、寝ている間にお母様の故郷を思い出したから、そこへ向かって出ました。しかし、そこに着いたら、誰もいませんでした。それから浪人になって、あちらこちらに回り歩き、赤毛のお嬢さんに会ったことがあるかと誰彼となく尋ねました。やはり、ほとんどの返答は会ったことはないというものだったが、時折、そのようなお嬢さんの姿を見たという答えが返ってきました。そのような時、そのお嬢さんは今どこにいるかと聞くと、もう出た後で、どこに行ったのかは分からないという返答ばかりでした」

「二年ほどそのような事が続きました。ようやく、籠城していた当時の若殿が一人、殿様になったという話を聞きましたので、その方の国に行って、仕え始め、あのお嬢様のことを忘れようとしました。そうして、ゆき様がここに戻ってくるまで、あそこに仕え続けたのでございます」

ゆきは声を出しました。「その間、 他の女のことが好きになったでしょうね」

老中は、「違います。捜すのを止めはしましたが、私の心はまだあのお嬢様の方に向き続けています」と、首を横に振りました。

若殿は問いました。「さて、その娘の名は何という?」

「名は、ココと垂オます」と老中が畏まって答える。すると、狐子は矢庭に棚から飛び降り、当時の姿に化けるが早いか。さっと老中の背後に歩い寄り、「あの時、まだお会いしましょうとこの私が垂オましたか」と何事もなかったかのように言いました。

老中は飛んで、後ろの方に向かい、一瞬狐子から身を竦めました。「一体いつの間に!?」それから、奮っている手で狐子の頬を優しく触りました。「何も違いません。本物ですか。狐などの悪計ではありませんか」と問いました。

狐子は気に障ったような撫??オていました。「どうしてそのような質問をしていますか。狐が好きじゃないのですか」と尋ねました。

老中は、「べ…別に。あなたが狐が好きなら、ぜひ私も狐が好きです」と、混乱する撫??オました。

狐子はくすくすと笑いました。「私がずっと狐なら、いかがですか」と訊きました。

老中は首を振りました。「それはありえません。ココはどこから見ても人間でしたよ。そのお嬢さんは狐だったとは思えません」

狐子は紙と筆を取って、漢字を二字書きました。漢字を指さしながら、こう言いました。「これは私の名前です。狐の子供ですから、狐子と垂オます」

老中はまだ首を振っていました。「あなたは人間です。そんな美しいお嬢さんが動物だということはありえません」

「でも本当に狐ですわよ。これが自然な姿なのです」と言うと、狐の姿に化け、三本の尻尾を腰の上で振りました。「他の姿にもなれます」と、猫、鼠、処黶`二歳の男の子の姿に化けてみせ、そして元の姿に戻りました。「でも、これが昔からの普通の姿です。従妹に訪ねるために、この姿に化けるのを習いました」

老中はぼんやりと狐子を見返しました。「い…とこ?」とだけ言いました。

「はい。ゆきちゃんのお祖母さんが父の姉の娘でした」と狐子は説明しました。

老中はこめかみを両手で摩りました。「ゆき様のお祖母様は雌狐の娘だったと言うのですか。それはありえません。籠城時の殿のお母様は侍の家族から来ました。あの方の奥様は隣国の殿様のお嬢様でした。二人はどこから見ても人間でした」

「その殿のお母様は従妹でしたわよ。人間は人間でも、狐の家系の人間でした。父親は人間の侍でしたが、母親は人間の姿に化けた雌狐でした。狐は他の種類の姿に化けると、その同じ種類と子供ができます。雌狐は妊娠している間、姿を変えることができません」と狐子は言いました。「狐にとって、そういう子は狐ではなく、狐が化けた種類となるのです」

老中はふらふらと立ち上がり、「色々なことを考えなくてはいけません」と狐子に言うと、若殿の方へ向きました。「そろそろ失礼いたします。お邪魔いたしました」と、うなだれながら、その場を後にしました。

狐子はただ老中の去った後をきょとんと見つめていました。

「かわいそう」とゆきは呟くと、狐子に声をかけました。「元気を出して!」

狐子はただ「はい」とだけ、力なく答えました。そして、自分の姿に戻り、隅で縮こまり、鼻を尻尾で覆って目を閉じました。
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RE: ゆきの物語

Postby Garappachi » Mon 06.11.2007 6:58 am

以下の文章は私の個人意見ですので、参考程度にとどめてください。^O^


「その頃、政治のことは難しくなりました。田舎侍と大名、大名と大名、大名と将軍、そういう仲間は全部張り切ってきて、ついに壊しました。山火事に梢から梢に火が飛ぶような速度、妖怪が田舎侍を嗾けているという奄ェ広まりました。いつの間にか田舎侍に攻撃され、攻め滅ぼされた大名がお増えになりました」

その頃、政事(まつりごと)は難しい局面にさしかかっていました。田舎侍と大名、大名と大名、大名と将軍、これらの関係は緊張の度を増し、ついには破局を迎えることになったのです。それはまるで山火事の梢から梢へと火の手が飛び移っていくような勢いで、妖怪が田舎侍を嗾けているという奄ェ広まると同時に、田舎侍に攻撃され、攻め滅ぼされる大名が増えていきました。


「同じように、この国は賊軍に攻撃されました。殿は忠臣を集め、その賊軍を追い捲るために城からお出かけになりました。しかし、その途中、狭い谷の中で迎え撃たれました。いつの間にか投げた岩が中堅にいらっしゃた殿を打ち殺し、敵軍が先陣にいらっしゃった若殿を親衛閉と共に早く囲んで殺しました。後軍にいらっしゃったお孫様ができるだけ多くの潰走していた兵たちを再び集め、整然と城へ退いていらっしゃいました」

同じように、この国も賊軍に攻撃されました。殿は忠臣を集め、その賊軍を追い払うために城から出陣しました。しかし、その途中、狭い谷の中で迎え撃たれました。どこからか投げられた岩で中堅にいらした殿は命を奪われ、先陣にいらした若殿もお付きの者共々、敵軍に素早く取り囲まれ、討ち死になさいました。後詰めでいらしたお孫様はできるだけ多くの潰走していた兵たちを再び集め、整然と城へ退いていらっしゃいました

※会話における説明や報告では特別な意図がない限り、視点/立ち位置はなるべく移動しないようにした方が良いと思います。
 この国は ←味方
 殿は   ←味方
 投げた岩 ←敵軍
 敵軍   ←敵軍
 お孫様  ←味方
 上記のように会話者の視点/立ち位置が移動しています。

※投げた岩が中堅にいらっしゃた殿を打ち殺し・・・多くの場合、一つの文(主語・目的語・補語)の中で無生物と
 生物が含まれる時、生物が主語となるようにします。この文では岩そのものが、まるで意志を持った生き物のように
 殿を殺したような感じになります。


「その頃、城内のあちらこちらに手伝っている赤毛のお嬢様に気付いてきました。そのお嬢様はその前に城に見えることをあまり覚えませんでしたが、その間、どの方へ私が向いても、彼女の姿が見えるようでした。すぐに彼女は私の心を罠に引掛てしまったのでございます」

その頃、私は城内のあちらこちらで手伝っている赤毛のお嬢様の存在に気付きました。そのお嬢様には見覚えはありませんでしたが、その内、城内の至る所でお見受けするようになり、意識するようになりました。たちまち彼女は私の心を虜にしてしまったのでございます。


「時折、敵営の中に巨大な鬼が見えました。そのような鬼が岩を投げて元殿を殺したそうでございました」

時折、敵営の中に巨大な鬼が見えました。そのような鬼が岩を投げて元殿を殺したそうでございます

※会話の中では「〜したそうでございました」のような伝聞形式は「〜したそうでございます」のように現在形で用いるのが通常。


「少ししばらくすると、近隣諸国から数人の若殿が秘密裏に城に入ってきました。その内には我が殿の父上がいたのでございます。これはできるだけ援兵であるというその人達の父親たちから返答を持ってきました」

少しすると、近隣諸国から数人の若殿が秘密裏に城に入ってきました。その中に我が殿の父上がいたのでございます。これは可狽ネ限りの援兵であるという若殿の父親たちからの返答も携えていました。


「数ヶ月が過ぎた後で、その鬼がまた敵営に見えた時に、殿が兵たちを集め、外郭を守れと命令しました。敵軍が総攻撃を始めたようでしたから、武士ではない私も武器を手に入れに参りました。その途中、私の心を捉まえた女の子にお出会いしました。お嬢様の言うことは、殿の家族と一緒に逃げろと殿が仰ったのでした。私が手伝ってあげるようにというお願いもありました。できるだけ手伝ってあげるが、殿の命令がなければ、逃げるなど出来ないというように答えました。それからお嬢様と一緒に殿のお母様の部屋に参りました」

数ヶ月が過ぎた後、その鬼がまた敵営に見えた時に、殿が兵たちを集め、外郭を守れと命令しました。敵軍が総攻撃を始めたようでしたので、武士ではない私も武器を手に入れに参りました。その途中、私の心を捉えた女の子に出会いました。お嬢様の言うことには、殿の家族と一緒に逃げろと殿が仰ったとの事でした。また私にも手伝って下さいと懇願されました。できるだけ手伝ってあげるが、殿の命令がなければ、逃げる事など出来ないというように答えました。それからお嬢様と一緒に殿のお母様の部屋に参りました


「殿の家族を集めた後で、お嬢様に連れて城の地下へ下りて行きました。そこに辿り着くと、あっという間に地下道の入口に気付きました。子供の頃、私がそこでよく遊んでいても、その入口は知りませんでした。一体どうやって、誰が、いつの間にかその地下道を作ったのかが想像できませんでした」

殿の家族を集めた後、お嬢様と一緒に連れて城の地下へ下りて行きました。そこに辿り着くと、すぐに地下道の入口が分かりました。子供の頃、私はそこでよく遊んだものでしたが、その入口は知りませんでした。一体どうやって、誰が、いつ、その地下道を作ったのかが想像できませんでした


「お嬢様達から離れた後で、武器の探しを続けようとすると、すぐに数人の傷ついた兵や援兵のために来た若殿に出会いました。お嬢様達と一緒にいた間、城壁が滅びて、殿が戦没したようでございました。外を見ると、全ては混乱していました。もう一度殿が本当に死んでしまったのでしょうかと若殿達に尋ねると、我が殿の父上がご確認になりました」

お嬢様達と別れた後で、武器探しを続けようとすると、すぐに数人の傷ついた兵や援兵のために来た若殿に出会いました。お嬢様達と一緒にいた間、城壁が破壊され、殿が戦死されたようでございました。外を見ると、全ては混乱していました。もう一度殿が本当に死んでしまったのでしょうかと若殿達に尋ねると、我が殿の父上がご確認になられたとの事でした。

※武器の探し・・・のを省略し、熟語化します。→武器探し  類例:宝探し

※城壁が滅びる。・・・目に見える国「物や品物などは壊れたり、破壊されたりします。滅びるの反意語は興る【新しく生じる】、
 城壁は新しく生じることはありません。


「それから若殿たちをお嬢様たちが入っていった地下道に連れてまいりました。地下道を出た後で、お嬢様達の足跡など探そうと致しましたが、何もの跡はございませんでした」

それから若殿たちをお嬢様たちが入っていった地下道に連れてまいりました。地下道を出た後で、お嬢様達の足跡など探そうと致しましたが、それらしい跡は何もございませんでした


「若殿たちは自分の国に戻るために分かれ始め、一人ずつ兵たちに一緒に行こうという勧誘をしました。私にもそのような勧誘を下さったが、お嬢様たちの跡を見付けるしか考えることはできませんでした」

若殿たちは自分の国に戻る別れ際、各々が兵たちに一緒に行こうと勧誘しました。私にもそのような勧誘を下さったが、お嬢様たちの跡を見付ける事しか考えることはできませんでした


「空が暗くなるまで一人でその辺りを調べました。次の朝、寝ている間にお母様の故郷を思い出したから、そこへ向かって出ました。しかし、そこに着いたら、誰もいませんでした。それから浪人になって、あちらこちらに回り歩き、赤毛のお嬢さんに会ったことがあるかと誰にも尋ねました。やはり、ほとんどの返答は会ったことはないというものだったが、時折、そのようなお嬢さんの姿を見たという答えが返ってきました。そのような時、あのお嬢さんは今、どこにいると聞くと、もう出たと言われました。どこに行ったのかは分からないという返答をいつももらいました」

空が暗くなるまで一人でその辺りを調べました。次の朝、寝ている間にお母様の故郷を思い出したので、そこへ向かって出ました。しかし、そこに着いても、誰もいませんでした。それから浪人になって、あちらこちら回り歩き、赤毛のお嬢さんに会ったことがあるかと誰彼となく尋ねました。やはり、ほとんどの返答は会ったことはないというものだったが、時折、そのようなお嬢さんの姿を見たという答えが返ってきました。そのような時、そのお嬢さんは今どこにいるかと聞くと、もう出た後で、どこに行ったのかは分からないという返答ばかりでした。


「二年ほどそのように続きました。ようやく、籠城していた若殿が一人殿様になったという話を聞きました。その方の国に行って、仕え始め、あのお嬢様のことを忘れようとしました。そうして、ゆき様がここに戻ってくるまで、あそこに仕え続けたのでございます」
二年ほどそのような事が続きました。ようやく、籠城していた当時の若殿が一人、殿様になったという話を聞きましたので、その方の国に行って、仕え始め、あのお嬢様のことを忘れようとしました。そうして、ゆき様がここに戻ってくるまで、あそこに仕え続けたのでございます


ゆきは声を出しました。「その間、 他の女のことが好きになったでしょうね」


老中は、「違います。捜すのを辞めたのに、私の心はまだあのお嬢様の方に向き続けています」と、首を横に振りました。

老中は、「違います。捜すのを止めはしましたが、私の心はまだあのお嬢様の方に向き続けています」と、首を横に振りました。


若殿は問いました。「その子の名前は?」

若殿は問いました。「して、その娘の名はなんという?」

※小説・歌詞・詩など文学では娘と書いて「むすめ」の他に「こ」と読ませることが非常に多いです。この場合は daughter
 の意味はなく girl の意味です。
 あの娘〜♪どこにいるのやら〜♪星空の続く〜♪あの街あたりか〜♪
 この辺りから、張り扇の2〜3発も叩こうかというちょっとした山場ですので、適当に阜サを変えてリズムを付けてみました。(^O^)

「ココと呼びました」と老中が言うと、狐子は棚から飛び降ろして、普通の姿に化けました。静かに老中の後ろに歩いてきて、「その時、まだ会いましょうとこの私が言いましたか」と聞きました。

「はは、ココと垂オます」と老中が畏まって答えます。すると、狐子は矢庭に棚から飛び降り、当時の姿に化けるが早いか、さっと老中の背後に歩み寄り、「あの時、またお会いしましょうとこの私が垂オましたか」と何事もなかったかのように言いました。


老中は飛んで、後ろの方に向かい、一瞬狐子から身を竦めました。「一体いつの間に!?」それから、奮っている手で狐子の頬を優しく触りました。「何も違いません。本物ですか。狐などの悪計ではありませんか」と問いました。

さすがに愚鈍な老中も狐子から身を竦めるように、慌て飛び退き、「いっ、一体いつの間に!?」そして、なおも奮える手で狐子の頬を恐る恐る触れながら、「アッ、アナタに間違いありません。ほっ、本物ですか。・・・狐に化かされているのではあるまいな」と放心の体で呻くように呟きました。


狐子は気に障ったような撫??オていました。「どうしてそのような質問をしていますか。狐が好きじゃないのですか」と尋ねました。

狐子は気に障ったような撫?ナ「どうしてそのような質問をするのですか。狐が好きじゃないのですか」と尋ねました。


老中は、「べ…別に。あなたが狐が好きなら、ぜひ私も狐が好きです」と、混乱する撫??オました。

老中は、「べっ、別に・・・。あなたが狐が好きと言うのなら、私も狐が大好きです」と、困惑の色を浮かべながら、やっとのことで答える有様です。

※あなたが狐が好き・・・「AがBが〜だ」という黒カはありません。通常「AはBが〜だ」の「〜は〜が」文に置き換えますが、
 この場合ですと、「狐が好き」の部分を台詞扱いにすれば、(「狐が好き」と言うの)(主語になることが出来る名詞節)=Bと
 なり、複文の「AがBだ。」の名詞文にすることが出来ます。(あなた)が(「狐が好き」と言うの)だ。の形です。
 「あなたが狐が好きなのなら、」という阜サも可狽ナす。なお、「言うの」「好きなの」の「の」は動詞や形容詞を形式名詞化
 するための「の」です。


狐子はくすくすと笑いました。「私がずっと狐なら、いかがですか」と訊きました。

狐子はくすくすと笑いながら「私がずっと狐なら、いかがですか」と訊きました。


老中は首を振りました。「それはありえません。ココはどこから見ても人間でしたよ。そのお嬢さんは狐だったとは思えません」

老中は首を振りました。「それはありえません。ココはどこから見ても人間でしたよ。あのお嬢さんが狐だったとは思えません」

※会話者老中から見れば何年も前の出来事で、また対話者ココから見ても同様です。ですので、「その」ではなく「あの」を
 使用します。
 一般的に「この」は会話者の勢力圏内にある物事・概念を指し、「その」は対話者の勢力圏内にある物事・概念を指し、
 「あの」は「この」および「その」以外を指します。

※「あのお嬢さん」を強調したい場合は「が」を使用します。
 一般的に「A+は/が+B+です」の黒カではAを強調したい場合は「が」を、Bを強調したい場合は「は」を使用します。
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RE: ゆきの物語

Postby richvh » Mon 06.11.2007 4:56 pm

訂正・説明をしてくださってありがとうございます。少し質問がありますが。

「武器探し」:「ぶきさがし」ですか、「ぶきざがし」か。(「ぶきざがし」と思います。)

「捜すのを止めはしました」:「とめ」か、「やめ」ですか。「とどめ」か(「とめ」と思います。)

「して、その娘の名はなんという」:この「して」は「さて」のタイポですか。

「はは、ココと垂オます」:この「はは」は「名は」のタイポですか。

Edit:
「アッ、アナタに間違いありません。」私が書こうとした意味は"You are no different"か"You haven't changed"のようでした。「あっ、あなたには何も変わっていません」はどうですか。
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RE: ゆきの物語

Postby Garappachi » Tue 06.12.2007 8:58 am

「武器探し」:「ぶきさがし」ですか、「ぶきざがし」か。(「ぶきざがし」と思います。)


「ぶきさがし」と読みます。


「捜すのを止めはしました」:「とめ」か、「やめ」ですか。「とどめ」か(「とめ」と思います。)


この場合は「止め」は「やめ」と読みます。


「して、その娘の名はなんという」:この「して」は「さて」のタイポですか。


「して」・・・文語的な阜サで、時代劇などによく使われます。対話者の発言を促します。現代では「それで」・「で」に相当します。
例:A「きのう事故を起こしちゃってさー。参っちゃうよ。」
  B「で、体の方は大丈夫なの?怪我はなかった?」
  A「いやぁー、幸い怪我はなかったんだけど、車が壊れちゃったよ。」


「はは、ココと垂オます」:この「はは」は「名は」のタイポですか。


「はは」・・・これも時代劇などによく出てきます。上位の者(特に殿様など)に畏まってとる動作(平伏、お辞儀など)とともに発する声です。「分かりました」という意味も含まれます。
この場合は若殿の質問「して、その娘の名はなんという」に対して、「その質問の意味が分かりました」という意味合いになります。


「アッ、アナタに間違いありません。」私が書こうとした意味は"You are no different"か"You haven't changed"のようでした。「あっ、あなたには何も変わっていません」はどうですか。


「あっ、あなたには何も変わっていません」・・・「には」の使い方が不適当です。「あっ、あなたは何も変わっていません」が良いと思います。
「アッ、アナタに間違いありません。」・・・ちょっと説明するのが難しいのですが、この場面では「(あの時の)あなたに間違いありません。」という意味が含まれています。(あの時の)を台詞に加えると冗長になるので、「アッ、アナタ」とカタカナで書いて強調してみました。
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RE: ゆきの物語

Postby richvh » Tue 06.12.2007 9:58 am

説明をしてくださってありがとうございます。

Edit:
「止(や)める」と「辞(や)める」の違いは何ですか。「捜すのを止めはしました」の「止め」を「辞め」に変わってもいいですか。

I finished Chapter 56 this morning. None of it has been corrected yet.

弟五序Z章
寂しいらしい二人

次の日、狐子が老中に会おうとすると、彼は「まだ考えてる。それに、忙しい」としか言わなくて、狐子に背を向かいました。

狐子はゆきのところに行きました。「老中さんが私に会いたがらないらしい。どうしよう?」と訊きました。

ゆきは「分からない」と言うと、女将が声を出しました。

「あの方、どうして狐子様のことが好きになりましたか」

「あ! 分かった」と狐子は言って、部屋を出ました。

それから狐子は城のあちこちに行って、誰でも問題がある者に会うと、手伝いました。特に、泣いている子供がいると、すぐに狐子はその子に近付いていきました。やがて、その憂い顔は笑顔になりました。

しばらくして、このような会話が城の中によく起こりました。

「狐子という人を知ってる?」

「その赤毛の子?うん。昨日、息子が走って倒れて、膝を痛んじゃった。あっという間に、彼の横に見えた。息子に立ち上がさえた。私がそこに着いたとき、息子は鳴くむしろ笑ってた。血を膝から拭い取ると、傷が見えなかった」

「旦那は殿と一緒に旅してた。その途中、あの子が妖怪に化け、鬼と戦ったと言った。そのような者に子供と仲間をさせることはいいかしら?」

「へえ?妖怪より狐に化けたそうね。狐は妖怪じゃなくて、神様の使者わよね」

「二人はあの赤毛の子を話してる?この頃、彼女が庭で座りながら城の方へ見たり溜息をついたりしたことを見たの」

「そう?私、息子を集めてから、彼女の溜息が聞こえたの」

狐子と老中の再会の数週間後、若殿がゆきと話しました。「最近、老中は国のことの集中力は弱くなったらしい」

ゆきは頷きました。「そうですね。会議のとき、いつも溜息をついたり壁の方へきょとんと見つめたりしているようですね。前に、再び質問をする必要はありませんでした。最近、三回訊いても返事がない場合は殖えていますね」

「彼は、狐子と会いたくないのに、会いたいらしい。二人に再会させた方がいい」と若殿はゆきの顔を見やりながら言いました。

「分かりました。今晩の茶会のお客を変えます」とゆきは言うと、女将を見つけ、その晩のお客を狐子と老中に変えました。


Edit: With Garappachi's corrections applied. (I thought I posted this last night, but it seems I neglected to click "Save Changes".)

第五序Z章
寂しげな二人

次の日、狐子が老中に会おうとすると、彼は「まだ考えてる。それに、忙しい」としか言わなくて、狐子に背を向けてしまいました。

狐子はゆきのところに行きました。「老中さんが私に会いたがらないらしい。どうしよう?」と訊きました。

ゆきは「分からない」と言うと、女将が声を出しました。

「あの方、どうして狐子様のことが好きになったのでしょうねえ」

「あ!分かった」と狐子は言って、部屋を出ました。

それから狐子は城のあちこちに行って、誰でも困っている者に会うと、手伝いました。特に、泣いている子供がいると、すぐに狐子はその子に近付いていきました。やがて、その憂い顔は笑顔になりました。

しばらくして、このような会話が城の中によく聞かれるようになりました。

「狐子という人を知ってる?」

「その赤毛の子?うん。昨日、息子が走って、転んで、膝を痛めちゃった。あっという間に、彼女が息子の横に来て立ち上がらせた。私がそこに着いたとき、息子は泣かずにむしろ笑ってた。血を膝から拭い取ると、傷が治ってた」

「旦那は殿と一緒に旅してた。その途中、あの子が妖怪に化け、鬼と戦ったと言った。そのような者に子供と仲良くさせるとはいいことかしら?」

「へえ?妖怪より狐に化けたそうね。狐は妖怪じゃなくて、神様の使者よね」

「二人はあの赤毛の子を話してる?この頃、彼女が庭に座りながら、城の方を見たり溜息をついたりしたところを見たの」

「そう?私、転んでた息子と一緒に帰るところ、彼女の溜息が聞こえたの」

狐子と老中の再会の数週間後、若殿がゆきと話しました。「最近、老中は国のことに集中できなくなったらしい」

ゆきは頷きました。「そうですね。会議のとき、いつも溜息をついたり壁の方をきょとんと見つめたりしているようですね。前は、再び質問をする必要はありませんでした。最近、三回訊いても返事がない場合は増えていますね」

「彼は、狐子と会いたくないようで、実は会いたいらしい。二人に再会させた方がいい」と若殿はゆきの顔を見やりながら言いました。

「分かりました。今晩の茶会のお客を替えます」とゆきは言うと、女将を見つけ、その晩のお客を狐子と老中に替えました。


Edit: changed 老中's comments in the beginning to 丁寧語 per ryokondo.

弟五序Z章
寂しげな二人

次の日、狐子が老中に会おうとすると、彼は「まだ考えています。それに、忙しいです」としか言わなくて、狐子に背を向けてしまいました。

狐子はゆきのところに行きました。「老中さんが私に会いたがらないらしい。どうしよう?」と訊きました。

ゆきは「分からない」と言うと、女将が声を出しました。

「あの方、どうして狐子様のことが好きになったのでしょうねえ」

「あ!分かった」と狐子は言って、部屋を出ました。

それから狐子は城のあちこちに行って、誰でも困っているがある者に会うと、手伝いました。特に、泣いている子供がいると、すぐに狐子はその子に近付いていきました。やがて、その憂い顔は笑顔になりました。

しばらくして、このような会話が城の中によく聞かれるようになりました。

「狐子という人を知ってる?」

「その赤毛の子?うん。昨日、息子が走って、転んで、膝を痛めちゃった。あっという間に、彼女が息子の横に来て立ち上がらせた。私がそこに着いたとき、息子は泣かずにむしろ笑ってた。血を膝から拭い取ると、傷が治ってた」

「旦那は殿と一緒に旅してた。その途中、あの子が妖怪に化け、鬼と戦ったと言った。そのような者に子供と仲良くさせるとはいいことかしら?」

「へえ?妖怪より狐に化けたそうね。狐は妖怪じゃなくて、神様の使者よね」

「二人はあの赤毛の子を話してる?この頃、彼女が庭に座りながら、城の方を見たり溜息をついたりしたところを見たの」

「そう?私、転んでた息子と一緒に帰るところ、彼女の溜息が聞こえたの」

狐子と老中の再会の数週間後、若殿がゆきと話しました。「最近、老中は国のことに集中できなくなったらしい」

ゆきは頷きました。「そうですね。会議のとき、いつも溜息をついたり壁の方をきょとんと見つめたりしているようですね。前は、再び質問をする必要はありませんでした。最近、三回訊いても返事がない場合は増えていますね」

「彼は、狐子と会いたくないようで、実は会いたいらしい。二人に再会させた方がいい」と若殿はゆきの顔を見やりながら言いました。

「分かりました。今晩の茶会のお客を替えます」とゆきは言うと、女将を見つけ、その晩のお客を狐子と老中に替えました。
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ゆきの物語
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RE: ゆきの物語

Postby Garappachi » Tue 06.12.2007 6:14 pm

「止(や)める」と「辞(や)める」の違いは何ですか。「捜すのを止めはしました」の「止め」を「辞め」に変わってもいいですか。

「辞(や)める」・・・地位・官職・勤め先に用います。
例:長年勤めた教師を辞める。
  マルクドナルドのアルバイトを辞める。
  町内会の名誉会長を辞める。

「止(や)める」・・・行動・行為を中止する時、または計画を中止する時に用います。「辞める」以外の時に用いると考えても良さそうです。
例:長電話にならないよう無駄話を止める。
  去年の春から続けてきた趣味の書道を止める。
  散歩を止めて、家に帰宅する。
  夏に計画していた海外旅行を止める。
※「止める」を「やめる」とひらがなに置き換える方が、現在では普通のようです。

※ご質問の件では、「止め」を「辞め」に代えることはできません。代わりにひらがなで「やめ」とすることは可狽ナす。


弟五序Z章
寂しいらしい二人

第五序Z章
「寂しいように見える二人」あるいは「寂しそうな二人」という意味でしたら、「寂しげな二人」が良いと思います。


狐子に背を向かいました。

※「狐子に背を向けました。」背を向けるという動作を強調したい場合は→「狐子に背を向けてしまいました。」
向かう・・・自動詞
向ける・・・他動詞←考え方としては、老中の自らの意志で、自分の一部分である背中を動かすという感じになります。


「あの方、どうして狐子様のことが好きになりましたか」

※読者や狐子は単に知っているか、いないかだけを尋ねているのだと思ってしまいます。
女将がこの台詞で、老中が狐子を好きになった理由が何かを示唆させたい場合は、「思う」という狐子に考えさせることを促す単語を入れた方が自然です。
「あの方、どうして狐子様のことが好きになったと思いますか」
または、もう少し柔らかく「あの方、どうして狐子様のことが好きになったのでしょうねえ」


問題がある者

問題がある者・・・現代では素行不良の者を指します。「問題を抱えている者」、または、手伝うことで解決する程度であれば、「困っている者」が自然な阜サです。


しばらくして、このような会話が城の中によく起こりました。

※会話は通常、「話す」ものか「聞く」ものです。
奄ニして広まっていくようなら、→しばらくして、このような会話が城の中でよく囁かれるようになりました。
または、公然と皆が話し合っているのなら、→しばらくして、このような会話が城の中でよく聞かれるようになりました。


息子が走って倒れて、膝を痛んじゃった。あっという間に、彼の横に見えた。息子に立ち上がさえた。私がそこに着いたとき、息子は鳴くむしろ笑ってた。血を膝から拭い取ると、傷が見えなかった

息子が走って、転んで、膝を痛めちゃった。あっという間に、彼女が息子の横にきて、立ち上がらせた。私がそこに着いたとき、息子は泣かずにむしろ笑ってた。血を膝から拭い取ると、傷が治ってた

膝を痛める・・・他動詞
膝が痛む ・・・自動詞


子供と仲間をさせることはいいかしら?

子供と仲良くさせることはいいことかしら?


神様の使者わよね

神様の使者よね


「二人はあの赤毛の子を話してる?この頃、彼女が庭で座りながら城の方へ見たり溜息をついたりしたことを見たの」

「二人はあの赤毛の子のことを話してる?この頃、彼女が庭に座りながら、城の方を見たり溜息をついたりしたところを見たの」


「そう?私、息子を集めてから、彼女の溜息が聞こえたの」

※息子を集めてから・・・意味を掴みかねました。子供たちのことでしょうか?


「最近、老中は国のことの集中力は弱くなったらしい」

「最近、老中は国のことに集中できなくなったらしい」


壁の方へきょとんと見つめたりしているようですね。前に、再び質問をする必要はありませんでした。最近、三回訊いても返事がない場合は殖えていますね

壁の方をきょとんと見つめたりしているようですね。前は、再び質問をする必要はありませんでした。最近、三回訊いても返事がない場合は増えていますね

殖える・・・生物や財産が多くなる時に使用します。
例:野鳥が殖える
  貯金が殖える
増える・・・数量が多くなるときに使用します。
例:人口が増える
  希望者が増える
  目方が増える


彼は、狐子と会いたくないのに、会いたいらしい。

意図して狙った文なら、これで良いのですが、若殿からゆきへの説明でしたら、「会いたくないようで、実は会いたいらしい」などの阜サで補うのもアリかなと思います。


「分かりました。今晩の茶会のお客を変えます」とゆきは言うと、女将を見つけ、その晩のお客を狐子と老中に変えました。

「分かりました。今晩の茶会のお客を替えます」とゆきは言うと、女将を見つけ、その晩のお客を狐子と老中に替えました。
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RE: ゆきの物語

Postby richvh » Tue 06.12.2007 7:16 pm

「そう?私、息子を集めてから、彼女の溜息が聞こえたの」

※息子を集めてから・・・意味を掴みかねました。子供たちのことでしょうか?


書いているとき、どのように書くとは分からなかった。これはどうですか。
「そう?私、転んでた息子と一緒に帰るところ、彼女の溜息が聞こえたの」
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RE: ゆきの物語

Postby Garappachi » Wed 06.13.2007 7:14 am

第五曙ワ章
老中の話
・・・
・・・

そんな美しいお嬢さんが動物だとはありえません

そんな美しいお嬢さんが動物だということはありえません

「でも本当に狐ですわよ。これは自然な姿です」と言うと、狐の姿に化け、三本の尻尾を腰の上に振りました。「他の姿もできます」と、一つ一つ猫と、鼠と、処黶A二歳の男の子の姿に化け、そして普通の姿に戻りました。「でも、これは昔から普通の姿です。従妹に訪ねるために、この姿に化けるのを習いました」

「でも本当に狐ですわよ。これが自然な姿なのです」と言うと、狐の姿に化け、三本の尻尾を腰の上で振りました。「他の姿にもなれます」と言うと、猫、鼠、処黶`二歳の男の子の姿へと次々に化けてみせ、そして元の姿に戻りました。「でも、これが昔からの普通の姿です。従妹を訪ねるために、この姿に化けるのを習いました」

ゆき様のお祖母様は雌狐の娘だったと言っていますか。それはありえません。その籠城の時代の殿のお母様は侍の家族から来ました。

ゆき様のお祖母様が雌狐の娘だったと言うのですか。それはありえません。籠城時の殿のお母様は侍の家族から来ました。

「その殿のお母様は従妹でしたわよ。人間でも、狐の家系の人間でした。父親は人間の侍でしたが、母親は人間の姿に化けた雌狐でした。狐は他の種類の姿に化けると、その同じ種類と子供ができます。雌狐は妊娠している間、姿を化けることができません」と狐子は言いました。「狐にとって、そういう子は狐ではなく、狐が化けていた種類です」

「その殿のお母様は従妹でしたわよ。人間は人間でも、狐の家系の人間でした。父親は人間の侍でしたが、母親は人間の姿に化けた雌狐でした。狐は他の種類の姿に化けると、その同じ種類の子供ができます。雌狐は妊娠している間、姿を変えることができません」と狐子は言いました。「狐にとって、そういう子は狐ではなく、狐が化けた種類となるのです。」

老中はふらふらと立ち上がりました。「色々なことを考えなくてはいけません」と狐子に言うと、若殿の方へ向きました。「そろそろ失礼いたします。お邪魔いたしました」と、うなだれながら去りました。

老中はふらふらと立ち上がり、「色々なことを考えなくてはいけません」と狐子に言うと、若殿の方へ向きました。「そろそろ失礼いたします。お邪魔いたしました」と、うなだれながら、その場を後にしました。

狐子はただ老中の方へきょとんと見つめました。

狐子はただ老中の去った後をきょとんと見つめていました。

「かわいそう」とゆきは呟くと、狐子に声をかけました。「頑張って!」

「かわいそう」とゆきは呟くと、狐子に声をかけました。「元気を出して!」

狐子はただ「はい」と答えました。

狐子はただ「はい」とだけ、力なく答えました。

richvh wrote:
「そう?私、息子を集めてから、彼女の溜息が聞こえたの」

※息子を集めてから・・・意味を掴みかねました。子供たちのことでしょうか?


書いているとき、どのように書くとは分からなかった。これはどうですか。
「そう?私、転んでた息子と一緒に帰るところ、彼女の溜息が聞こえたの」

非常に自然で、良いと思います。
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RE: ゆきの物語

Postby richvh » Wed 06.13.2007 9:06 am

「籠城時」の読みは「「ろうじょうじ」か「ろうじょうとき」ですか。
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RE: ゆきの物語

Postby richvh » Sat 06.16.2007 6:42 am

Chapter 57. I had a few corrections to the beginning from Elf Stein on Mixi; otherwise this is uncorrected.

弟五庶オ章
居心地悪い茶会

老中がゆきの部屋の障子を開けると、狐子がもうその中に座っていました。「すみません。間違えたようです」と老中が言って、去ろうとしましたが、ゆきが老中の腕を掴み、「間違いはありません」と言って、顔が赤くなっていた狐子の脇で座らせました。

ゆきはお茶を淹れてから、「あっ!何かを忘れたようです。ちょっと待ってください」と言って、廊下に出ました。そこで黙って立って、聴きました。

二人は居心地悪そうに、部屋に留まっていました。時々一人は隣の方を偸視してみましたが、相手が見返ることに気づくと、すぐさま二人は慌てて目を逸らしました。

ようやく二人は「ごめんなさい」と一緒に言いました。

老中はさっそく狐子の方に目線を向けました。「謝るな!全ては私のせいだぞ。あなたに信じ続けたのに」と強く言いました。

見返している狐子は老中の手を掴みました。「いえいえ、そう言わないで!あなたのせいじゃない。私が昔、あるがまま実を言ったのに」と答えました。

長い瞬間、二人はただ黙って座りながら手を手にとって相手の眼を見つめました。ふいに、障子が開けました。ゆきがお菓子を持って帰ってきました。「ただいま」と顔の真っ赤になった二人に言いました。

それから二人は捜しの時の経験について話し合いました。どこに行ったことや、いつ、どこに相手のことを少しでも見つけたことを。

「ある月日、ある村で赤毛の娘に会ったと言う老女に出会った。そういう娘が数日前、どこかへ出たが、どこへ分からないと言った。それを覚えるのか?」

「ああ、覚えてる。あのおばあさんの息子が城に籠城していて、故郷に逃げていっていたという奄?キいたの。だから、そこに行ったが、別の人だった。彼は落城の時からあなたに会ったことはなかったという」

そのようにその会話は夜遅くまで続きました。ようやく笑顔をしている二人は一人ずつ自分の部屋に帰りました。


Edit: got some corrections from miha and ryokondo

弟五庶オ章
居心地悪い茶会

老中がゆきの部屋の障子を開けると、狐子がもうその中に座っていました。「すみません。間違えたようです」と老中が言って、去ろうとしましたが、ゆきが老中の腕を掴み、「間違いはありません」と言って、顔が赤くなっていた狐子の脇に座らせました。

ゆきはお茶を淹れてから、「あっ!何かを忘れたようです。ちょっと待ってください」と言って、廊下に出ました。そこで黙って立って、聴きました。

二人は居心地悪そうに、部屋に留まっていました。時々一人は隣の方を偸視してみましたが、相手が見返ることに気づくと、すぐさま二人は慌てて目を逸らしました。

ようやく二人は「ごめんなさい」と一緒に言いました。

老中はさっそく狐子の方に目線を向けました。「謝らないでください!全ては私のせいですよ。あなたを信じ続けましたのに」と強く言いました。

見返している狐子は老中の手を掴みました。「いえいえ、そう言わないでください!あなたのせいじゃありません。早く、事実を言っておきさえすれば…」と答えました。

短い時間だけ、二人はただ黙って座りながら手を手にとって相手の眼を見つめたが、二人にとって数時間のようでした。ふいに、障子が開きました。ゆきがお菓子を持って帰ってきました。「ただいま」と顔の真っ赤になった二人に言いました。

それから二人はお互いを捜し求めていた時のことについて話しました。例えば、どこに行ったのかということや、いつ、どこで互いの軌跡を辿っていったのかということなど。

「ある日、ある村で赤毛の娘に会ったと言う老女に出会いました。そういう娘が数日前、どこかへ出ましたが、どこへ行くか分からないと言いました。それを覚えていますか?」

「ああ、覚えています。あのおばあさんの息子が城に籠城していて、故郷に逃げていっていたという奄?キきました。だから、そこに行きましたが、別の人でした。彼は落城の時からあなたに会ったことはなかったといいました」

そのような会話は夜遅くまで続きました。ようやく、二人は笑顔になって、それぞれ自分の部屋に戻りました。
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RE: ゆきの物語

Postby richvh » Mon 07.30.2007 7:11 am

Finally finished another chapter. This includes corrections from miha and ryokondo.

第五諸ェ章
吟遊詩人の到着

それから老中と狐子が二人でいることが増えました。一緒に庭を歩いたりご飯を食べたりしました。そして、二人はよくゆきの茶会の客になりました。時々若殿もその茶会に参加しました。

しばらくすると、空気が冷たくなって、雪が降り始めました。冬が来たのです。

その頃、小姓がゆきのところに来ました。「ゆき様、誰かが門の近くにいらっしゃいます。吟遊詩人だとおっしゃって、ゆき様のお話を少しでも耳にしてから、すぐさま技の全てを習ってみたくなって、ここに飛んできたとおっしゃいます。ゆき様とお会いになりたいと願っております。いかがでしょうか?」と言いました。

ゆきは頷きました。「はい。その者と会ってみたいです」とゆきが答えると、小姓は会釈をして、去りました。ゆきは茶道の準備を始めながら、「女將さん、殿と狐子ちゃんを探し、ここにくるように願ってください」と声をかけました。

「老中はいかがでしょうか」と女將は訊きました。

「はい。老中も招待してください」とゆきがいうと、女將は首を傾けてから立ち去りました。

しばらくすると小姓は琴や色々な本を持っている男を連れてきました。男は深く会釈をしながら、「はじめまして、ゆき様。吟遊詩人の私はゆき様について興味深い奄?fったので、お話を正確にお聞きしたく、こちらに参りました。ゆき様は読書がお好きだそうでございますから、この本をさしあげるために持ってまいりました。どうぞ、よろしくお願いいたします」

ゆきはお茶を点てて淹れました。「お茶をどうぞ。どのような本ですか」と言いました。

吟遊詩人は本を置いてゆきに見せました。「日本の歴史と小説と和歌がございます」と言うと、お茶を飲んでみました。「素晴らしい!京都でもこのような美味しいお茶をいただいたことがございません。それでも、お点前の方がお珍しゅうございます」

ゆきの顔が真っ赤になりました。「それはただお祖母さまが教えた通りですが」と言いました。

「ゆき様のお祖母様のお点前は日本中で有名でございました。もうすぐゆき様のお点前もそのようになられましょう」と吟遊詩人は答えました。

「吟遊詩人なら、生活がお困りでしょう。それゆえ、そんなに多くの本をいただけません」

「この季節中こちらに居候させていただき、ゆき様のことを学ばせてくださったら?」と吟遊詩人は言い出した。

ゆきの顔に笑みが浮かぶ。「あっ!承知いたしました。それならば、この本をいただいて吟遊詩人さんが春が来るまでここに残っても高「ません。しかしながら、殿のお許しを待った方が良いでしょう」と言うと、また茶を点てて、吟遊詩人にも振り舞いました。

その頃、老中が狐子と一緒に部屋に入ってきました。「この吟遊詩人は私のことを習うようにここに来ました。吟遊詩人さん、こちらは我々の老中と肉親の狐子ちゃんです。殿が許せば、吟遊詩人は冬中こちらに残るようです。私が幼い頃については、二人は私より詳しく熟知しています」とゆきが言うと、吟遊詩人は眉を顰めました。「肉親とおっしゃいましたか。ゆき様は赤毛のお嬢様と付き合うという話を耳にいたしましたが、そういう者がゆき様の親戚という話を伺ったことはありません。それに、ゆき様の生きている肉親はいないと存じておりました。それに、狐子様はゆき様と同じようなお年でございます。どうしてゆき様の幼い頃のことをご存知なさってきましたか」と言いながら狐子の方へ会釈しました。

しかし、狐子は単に静かに立っていて、吟遊詩人の方を見つめました。彼女の顔は一瞬青ざめてから、腹が立ったように真っ赤になりました。ついに、腕を上げて吟遊詩人を指差しました。「牡狐め!なんでここに来たの?父が私の尻尾の匂いを嗅ぎに送ったの?人間の姿をしているのに、匂いを変えることを忘れているよ!」

狐子がそう無礼に言うと、皆は彼女を見つめました。ようやく、吟遊詩人は声を出しました。「本当に、狐子様のお父上を存じません。家族が妖怪に殺された後で、曙ワ年ほどこの姿をして独りで人間の世界を流れ歩いております。実は、ゆき様は狐と何かの関係があることを耳にしてので、こちらに向かおうと決めました」

吟遊詩人がそう言いながら、狐子は恥ずかしい色をして、口を手で覆いました。それから深い会釈を何回もしました。「ごめんなさいごめんなさい本当にごめんなさい!私はしたくないのに、すぐに狐と結婚してくれと父がこの頃言い始めましたのに、垂オ訳ありません!」と言って障子に向かって走り出そうとすると、若殿はそこに立ちました。「おいおい、どうしたんだ?廊下の先でも狐子の叫びがはっきり聞こえた」と言いました。

若殿に状況を説明をして狐子が落ち着いた後で、若殿は薄い笑みをしました。「やれやれ、もう一匹の狐がここに住みたいようだな。もしかしてこの城を狐城と呼んだ方がいいかな」と言うと、吟遊詩人の方を向きました。「琴を引くらしい。私が決める前に、お点前を見せなさい」と命令しました。

吟遊詩人は深い会釈をしてから、琴を取り上げて引き始めました。引きながら歌っていました。古い歌も新しいのも、有名な歌も聞き手が知らないのも、愛について歌も戦についてのも、色々な歌を行いました。その間、部屋の外の廊下に人が集まって聴きました。彼はようやくやめると、黙っていた聴衆は皆ぱちぱちと手を叩いていました。

拍手がようやく終わると、若殿は声を出しました。「居候など言うな。そんなお点前があるなら、どの殿も雇いたいだろうよね。ここにいる間、扶持を上げる。どうしてまだ渡り歩いている?好きな場所など探している?」

吟遊詩人は息をつきました。「実は、狐の世界に戻りたいのに、どの家族を見つけるも関係のない狐が欲しくないのでございます。それに、猫や犬など私のことが好きではなく、人間が私の近くに残れば、すぐにその者は必ずそわそわになって立ち去りたがります。狐子様の言う通り、匂いの問題でございましょう。もしかして狐子様は匂いを変える方法を教えてくださったら?」と言うと、狐子は「もちろん」と言って、吟遊詩人の手を取って部屋の隅に引きました。そこで二人は座りながら静かな声で話し合いました。一方、老中は二人の方へ見つめました。

「おい、老中、どうした?何か気になることがある?」声をかけたのは若殿でした。

「そうですね、殿、ただ…矢が心を刺すような感じがしました。あの者はお点前が高いし、狐子さんと同じ種類だし…いったいどうやって競えるかと存じています。それに、二署粕Nが経ってから、私は死んでいるでしょうが、二人はまだ若いに違いありません」

若殿は老中の肩を叩きました。「頑張れ!吟遊詩人は普通に他人のことより自分のことが好きだぞ。お前の性格がいいから、彼女はお前のことに気に入ったろう。とにかく、その娘は人を手伝うことが好きだから気に入ってきたじゃないか。これもそういうことかも。心配するわけはなかろう」と言ってから、立ち去りました。

「だが、心配してる。妬んでる。どうしてその考えを心から消えろうとするも、できない」と呟きました。

「老中さん、お茶をどうぞ」とゆきは老中の考えを割込みました。

「あっ、ありがとうございます」と老中は言って、ようやく視線を隅から離れることができました。


Edit: more corrections from ryokondo and miha.

第五諸ェ章
吟遊詩人の到着

それから老中と狐子が二人でいることが増えました。一緒に庭を歩いたりご飯を食べたりしました。そして、二人はよくゆきの茶会の客になりました。時々若殿もその茶会に参加しました。

しばらくすると、空気が冷たくなって、雪が降り始めました。冬が来たのです。

その頃、小姓がゆきのところに来ました。「ゆき様、誰かが門の近くにいらっしゃいます。吟遊詩人だとおっしゃって、ゆき様のお話を少しでも耳にしてから、すぐさま技の全てを習ってみたくなって、ここに飛んできたとおっしゃいます。ゆき様とお会いになりたいと願っております。いかがでしょうか?」と言いました。

ゆきは頷きました。「はい。その者と会ってみたいです」とゆきが答えると、小姓は会釈をして、去りました。ゆきは茶道の準備を始めながら、「女將さん、殿と狐子ちゃんを探し、ここにくるように願ってください」と声をかけました。

「老中はいかがでしょうか」と女將は訊きました。

「はい。老中も招待してください」とゆきがいうと、女將は首を傾けてから立ち去りました。

しばらくすると小姓は琴や色々な本を持っている男を連れてきました。男は深く会釈をしながら、「はじめまして、ゆき様。吟遊詩人の私はゆき様について興味深い奄?fったので、お話を正確にお聞きしたく、こちらに参りました。ゆき様は読書がお好きだそうでございますから、この本をさしあげるために持ってまいりました。どうぞ、よろしくお願いいたします」

ゆきはお茶を点てて淹れました。「お茶をどうぞ。どのような本ですか」と言いました。

吟遊詩人は本を置いてゆきに見せました。「日本の歴史と小説と和歌がございます」と言うと、お茶を飲んでみました。「素晴らしい!京都でもこのような美味しいお茶をいただいたことがございません。それでも、お点前の方がお珍しゅうございます」

ゆきの顔が真っ赤になりました。「それはただお祖母さまが教えた通りですが」と言いました。

「ゆき様のお祖母様のお点前は日本中で有名でございました。もうすぐゆき様のお点前もそのようになられましょう」と吟遊詩人は答えました。

「吟遊詩人なら、生活がお困りでしょう。それゆえ、そんなに多くの本をいただけません」

「この季節中こちらに居候させていただき、ゆき様のことを学ばせてくださったら?」と吟遊詩人は言い出した。

ゆきの顔に笑みが浮かぶ。「あっ!承知いたしました。それならば、この本をいただいて、その代わりに吟遊詩人さんが春が来るまでここに残っても高「ません。しかしながら、殿のお許しを待った方が良いでしょう」と言うと、また茶を点てて、吟遊詩人にも振り舞いました。

その頃、老中が狐子と一緒に部屋に入ってきました。「この吟遊詩人は私のことを習うようにここに来ました。吟遊詩人さん、こちらは我々の老中と肉親の狐子ちゃんです。殿が許せば、吟遊詩人は冬中こちらに残るようです。私が幼い頃については、二人は私より熟知しています」とゆきが言うと、吟遊詩人は眉を顰めました。「肉親とおっしゃいましたか。ゆき様は赤毛のお嬢様と付き合うという話を耳にいたしましたが、そういう者がゆき様の親戚という話を伺ったことはありません。それに、ゆき様の生きている肉親はいないと存じておりました。それに、狐子様はゆき様と同じようなお年でございます。どうしてゆき様の幼い頃のことをご存知なさってきましたか」と言いながら狐子の方へ会釈しました。

しかし、狐子は単に静かに立っていて、吟遊詩人の方を見つめました。彼女の顔は一瞬青ざめてから、腹が立ったように真っ赤になりました。ついに、腕を上げて吟遊詩人を指差しました。「牡狐め!なんでここに来たの?父が私の尻尾の匂いを嗅ぎに送ったの?人間の姿をしているのに、匂いを変えることを忘れているよ!」

狐子がそう無礼に言うと、皆は彼女を見つめました。ようやく、吟遊詩人は声を出しました。「本当に、狐子様のお父上を存じません。家族が妖怪に殺された後で、曙ワ年ほどこの姿をして独りで人間の世界を流れ歩いております。実は、ゆき様は狐と何かの関係があることを耳にしてので、こちらに向かおうと決めました」

吟遊詩人がそう言いながら、狐子は恥ずかしそうに少し顔を赤らめて、口を手で覆いました。それから深い会釈を何回もしました。「ごめんなさいごめんなさい本当にごめんなさい!私はしたくないのに、すぐに狐と結婚してくれと父がこの頃言い始めましたのに、垂オ訳ありません!」と言って障子に向かって走り出そうとすると、若殿はそこに立ちました。「おいおい、どうしたんだ?廊下の先でも狐子の叫びがはっきり聞こえた」と言いました。

若殿に状況を説明をして狐子が落ち着いた後で、若殿は薄い笑みをしました。「やれやれ、もう一匹の狐がここに住みたいようだな。もしかしてこの城を狐城と呼んだ方がいいかな」と言うと、吟遊詩人の方を向きました。「琴を引くらしいな。私が決める前に、お点前を見せなさい」と命令しました。

吟遊詩人は深い会釈をしてから、琴を取り上げて引き始めました。引きながら歌っていました。古い歌や新しい歌、有名な歌や聞き手が知らない歌、愛や歌も戦についての歌まで、色々詠いました。その間、部屋の外の廊下に人が集まって聴いていました。彼はようやくやめると、黙っていた聴衆は皆ぱちぱちと手を叩いていました。

拍手がようやく終わると、若殿は声を出しました。「居候など言うな。そんなお点前があるなら、どの殿も雇いたいだろうな。ここにいる間、扶持を上げる。どうしてまだ渡り歩いている?好きな場所など探しているのか?」

吟遊詩人は息をつきました。「実は、狐の世界に戻りたいのに、どの家族を見つけるどこの馬の骨とも分からない狐が欲しくないのでございます。それに、猫や犬など私のことが好きではなく、人間が私の近くに残れば、すぐにその者は必ずそわそわして立ち去りたがります。狐子様の言う通り、匂いの問題でございましょう。もしかして狐子様は匂いを変える方法を教えてくださいませんか?」と言うと、狐子は「もちろん」と言って、吟遊詩人の手を取って部屋の隅に引きました。そこで二人は座りながら静かな声で話し合いました。一方、老中は二人の方を見つめました。

「おい、老中、どうした?何か気になることがあるのか?」声をかけたのは若殿でした。

「そうですね、殿、ただ…矢が心を刺すような感じがしました。あの者はお点前が上手だし、狐子さんと同じ流儀だし…いったいどうやって競えるかと存じています。それに、二署粕Nが経ってから、私は死んでいるでしょうが、二人はまだ若いに違いありません」

若殿は老中の肩を叩きました。「頑張れ!吟遊詩人は人並みに他人のことより自分のことが好きだぞ。お前の性格がいいから、彼女はお前のことに気に入ったろう。とにかく、その娘は人を手伝うことが好きだから気に入ってきたじゃないか。今回もそういうことの延長だろう。心配するわけはなかろう」と言ってから、立ち去りました。

「だが、心配してる。妬んでる。どうにかしてその考えを心から消そうとするも、できない」と呟きました。

「老中さん、お茶をどうぞ」とゆきは老中の考えに割込みました。

「あっ、ありがとうございます」と老中は言って、ようやく視線を隅から離すことができました。
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